眼と心の健康相談室理事長:荒川さんの「眼瞼けいれん・片側顔面けいれん友の会」での講演要旨(7月21日)を採録させていただきます。
障害年金と眼瞼けいれん患者の生活支援について
患者会にとって、障害年金の対象になる方は少ないかもしれませんが、目の不調でお仕事ができなくなると生活の不安が真っ先に頭をよぎります。お勤めされている方々は、仕事継続が難しい方や会社の協力でやっと働いている方など様々な状況にあります。
眼瞼けいれんは、2013年から障害年金の対象になりました。患者会では2016年に兵庫県の辰巳周平社会労務士事務所の辰巳先生にご講演いただき、2017年の10月の会報22号にその内容が掲載されました。また、東京方面では安部敬太社労士事務所が熱心に相談に応じてくださっています。
私が今回この話をする理由は、最近、更新手続きで障害年金が受給できなくなるケースが増えているためです。仕事ができず、障害年金で生活している方々が大変な思いをされています。私たちは障害をもったら社会福祉制度で支援が受けられると期待しますが、眼瞼けいれんや眼球使用困難では視覚障害者手帳はもらえません。
視覚障害者手帳は視力と視野の検査で認定されるため、目が開きさえすれば見えるが目が開かないという理由では手帳がもらえません。眼瞼けいれんや眼球使用困難症の方が対象となる社会福祉制度は「傷病手当金」と「障害年金」だけです。しかし、これらを受給するためには非常に高いハードルがあります。しかも、これらの制度を利用できるのは、会社で働いている人だけです。
眼瞼けいれん友の会の役割は、診断がされにくいことや社会的認知度の低さを克服するために、19年間情報発信を続けてきました。今後、障害年金についての知識も重要だと考え、この話題を提供しています。
目と心の健康相談室には、「眼瞼痙攣で仕事ができない」「BTX注射は金額も高い」「みんなどうやって生活しているのか?」という相談があります。仕事をしている方は、担当医師に診断書を書いてもらえるか確認し、可能であれば社労士に相談してください。
障害認定基準では、「まぶたの運動障害のうち、眼瞼痙攣等で常時両眼のまぶたに著しい運動障害を残すことで作業等が続けられない程度のもの」は障害手当金に該当すると書かれています。厚生年金加入中に初診日がある眼瞼痙攣の方は、障害厚生年金が受給できる可能性があります。
患者会としては、引き続き情報発信を行い、社会的な理解を深め、眼瞼けいれんや眼球使用困難症の方々が安心して生活できるように支援していきます。どうぞよろしくお願いいたします。
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先の社労士先生の話に具体的なお話もありますのでここからその要旨にリンクしておきます。
(今回の交流会はオンラインのZOOMで行われましたが、清澤は目と心の健康相談室の部屋で参加させていただきました。下の写真は、健康相談室兼能が谷診療所の裏にあるのどかな河川の風景です。ここは珍しく川床に砂礫が無くて一枚の平坦な岩になっています。)
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