神経眼科

[No.2812] 座談会要旨:「あらゆるライフサイクルで目にする睡眠障害」:日本医師会雑誌抜粋

清澤のコメント:今月の日本医師会雑誌の特集は「睡眠障害に知て掛かり付け医が知っておきたいこと」です。sな最初に記載されたものがここに抄出し引用した座談会です。ざっとご覧ください。

座談会要旨:「あらゆるライフサイクルで目にする睡眠障害」

司会:三村將
参加者:柳沢正史、三島和夫、弓倉整
収録日:2024年2月2日

1. 座談会のテーマと背景

司会の三村氏は、本座談会のテーマが「睡眠障害」であることを紹介しました。本邦における睡眠障害の問題は国民全体に及ぶ大きな課題であり、特にかかりつけ医の先生方に役立つ情報を提供することが目的です。

2. ヒト・動物における睡眠の意義

柳沢氏は、すべての動物が睡眠を取ること、睡眠の役割として記憶の整理や短期記憶の長期記憶への転換が考えられることを説明しました。また、睡眠不足が脳のパフォーマンス低下や感情のコントロール障害を引き起こすことを強調しました。

3. 睡眠不足と長時間睡眠

柳沢氏は、一晩の徹夜が脳にアルコール0.1%の影響を及ぼすこと、長期間の短時間睡眠が脳のパフォーマンスを低下させることを説明しました。また、睡眠負債が健康に悪影響を与えることを強調し、長時間睡眠については健康状態が悪いことが多いと述べました。

4. 昼寝と脳との関係

三島氏は、昼寝が認知症の早期徴候である可能性があるとする最近の研究を紹介しました。また、夜間の睡眠の質が低下すると代償的に日中の睡眠が増えることがあると述べました。

5. 睡眠障害の分類、症候学

三島氏は、睡眠障害が約70種類あるが、臨床現場で多いのは不眠症状であると説明しました。不眠症の原因として精神疾患や睡眠関連呼吸障害が多いと述べ、かかりつけ医が初期のトリアージを行うことの重要性を強調しました。

6. 進化する睡眠計測デバイス

柳沢氏は、InSomnografⓇという睡眠計測デバイスを紹介し、主観的な睡眠と客観的な睡眠が乖離しているケースが多いことを説明しました。また、睡眠誤認の神経科学的メカニズムについての研究の重要性を強調しました。

7. 認知行動療法(CBT)の課題

三島氏は、睡眠障害の治療においてCBTが効果的であることを述べ、CBTアプリの保険適用の重要性を強調しました。また、薬物療法の前に睡眠衛生指導やCBTの活用が望ましいと述べました。

8. かかりつけ医の立場から見た睡眠障害

弓倉氏は、小児、成人、高齢者のそれぞれのライフサイクルで見られる睡眠障害のケースについて説明しました。特に小児のライフサイクルの乱れや、成人の長時間労働による睡眠不足、高齢者の睡眠薬依存の問題に言及しました。

9. 睡眠障害の処方薬

弓倉氏は、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用が多いことを説明し、オレキシン受容体拮抗薬の使用を推奨しました。また、薬物療法の適正使用の重要性を強調しました。

10. 睡眠とアルコール

柳沢氏は、寝酒が睡眠の質を悪化させることを述べ、就寝前の飲酒を避けるように指導しました。

11. 睡眠時無呼吸

弓倉氏は、睡眠時無呼吸の治療にはCPAP療法が有効であるが、導入には課題が多いことを説明しました。また、潜在患者の多さを指摘しました。

12. かかりつけ医の先生方へのメッセージ

柳沢氏は、若者のリズム障害や不登校の問題を指摘し、かかりつけ医がリズム障害に関心を持つことの重要性を強調しました。三島氏は、不眠症の診断と治療について、かかりつけ医が正確なトリアージを行うことの重要性を強調しました。弓倉氏は、睡眠薬の適正使用や睡眠の重要性についての啓発の必要性を訴えました。

総括

三村氏は、睡眠障害に関する本座談会が非常に有意義であったことをまとめ、参加者に感謝の意を表しました。

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