コロナ後遺症の実態と対処方法 平畑光一という記事が診療研究603に出ていました。最近は少なくなりましたが、コロナそのものあるいはコロナワクチン接種後に視覚症状を訴えて受診する患者さんもいました。平畑先生の記事の要約を以下に採録します。頻度なども参考になります。清澤が、「東洋医学に基づく経絡やツボを利用したセルフケアが有効です。」という部分を特に支持しているわけではありません。
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コロナ後遺症の実態と対処方法
2023年5月、新型コロナウイルス感染症は「5類感染症」に分類されました。この変更を受け、多くの人々が「コロナは終わった」と認識しているようですが、現実はそうではありません。5類化以降の1年間で、新型コロナによる死者数は約3万2,000人に達し、インフルエンザの約15倍に上ります。多くが高齢者であるとはいえ、感染や後遺症のリスクは誰にとっても無関係ではありません。
特に深刻なのが「コロナ後遺症」です。代表的な症状として、強い倦怠感やブレインフォグ(思考力や記憶力の低下)が挙げられます。最重症の方では、日常生活が困難になり、介助を必要とする場合もあります。2023年の厚生労働省の調査によれば、新型コロナ感染後の成人の11.7~23.4%、5歳~17歳の6.3%が後遺症を経験しています。
海外メディアによる推計では、日本では2024年だけで18億時間以上の労働時間が失われ、経済的損失は11兆円以上に達するとされています。当院の統計では、後遺症のために仕事を失った人が約13%、休職に追い込まれた人が約40%に上り、経済的な影響も深刻です。
感染回数が多いほど後遺症のリスクが高まることもわかっています。カナダの統計では、1回の感染で後遺症になる確率が14.6%、2回で25.4%、3回以上では37.9%に上ります。複数回感染した後に後遺症を発症する患者も多く、感染予防の重要性が再認識されます。
後遺症予防と対処法
感染後の2カ月間は無理をしないことが重要です。この期間に準寝たきり以上の状態になるケースが多いため、長時間の作業を避け、疲れる前に休憩を取ることが推奨されます。また、鼻うがいはウイルスを洗い流す効果が期待でき、副作用も少ないため推奨されています。さらに、抗ウイルス薬が後遺症の発症率を下げる可能性があるとの研究結果も出ています。
症状が続く場合は、他の疾患がないか医療機関で検査を受けることが基本です。その上で異常が見られなければ、コロナ後遺症を疑い、適切な治療を受ける必要があります。
しかし、診療報酬の特別措置が終了したことで、後遺症を診る医療機関は減少傾向にあり、患者に対する医療体制は厳しい状況です。推計では、日本では5,000万人以上が感染しており、そのうち10%が後遺症に苦しんでいると考えられます。このような状況ではセルフケアの重要性が増しています。
セルフケアの方法
感染後の疲労回復や症状の軽減には、東洋医学に基づく経絡やツボを利用したセルフケアが有効です。特に合谷、列缺、外関などのツボや膀胱経を刺激する方法は、多くの患者に改善効果をもたらしています。これらの情報は「https://longcovidjp」で公開されており、参考にすることができます。
治療やセルフケアの研究は進展していますが、何よりも重要なのは感染そのものを防ぐことです。後遺症のリスクを最小限に抑えるためにも、感染予防を徹底することが求められます。
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