全身病と眼

[No.1490] 水銀暴露で失明も…違法な美白・ニキビ用化粧品に気をつけろ

清澤のコメント:2023年3月8日夕刻に発売された日刊ゲンダイ(電子版は3月9日に掲載)に私の協力した水銀汚染された美白化粧品の記事が掲載されました。現代では化粧品への水銀の混入は禁止されていますが、日本でも以前はあったようで、海外製品にはまだあるようです。きっかけは米国眼科学会の告示です。(メチル水銀の水俣病訴訟から50年だそうです。末尾参照)

   ーーーー記事引用ーーーー

水銀暴露で失明も…違法な美白・ニキビ用化粧品に気をつけろ

 

成分表がない海外の化粧品だと…

成分表がない海外の化粧品だと…

 老若男女問わず「美しくなりたい」という思いは同じだ。とくにいまは「見た目が9割」と言われるほど外見がその人の能力評価にもつながりかねない時代。仕事にも関係するため美白やニキビなどの対策のために化粧品を手にする人も多い。中には、美容先進大国である米国で流行・販売されている化粧品を輸入して使っている人もいるだろう。ところが、その米国では流通している化粧品の中に、高濃度の水銀が含まれる規制外の化粧品があり、健康被害が出かねないとして、米国眼科学会が会員向けに警告記事を配信しているという。日本の厚労省にあたる米国食品医薬品局(FDA)も同様な警告を発している。自由が丘清澤眼科(東京・目黒区)の清澤源弘院長に聞いた。

「今年1月20日に配信された記事は、ある女性が化粧品に含まれる高レベルの水銀により失明したという内容です。米国ニューヨーク州の眼科医は規制されていない化粧品の中には水銀が高いレベルで含まれている可能性があり、水銀は吸入、摂取、または皮膚吸収により、血流に流入し、人の健康にさまざまな悪影響を与えることを述べています。目に関してはレンズの変色、かすみ目、結膜炎、視神経障害などのほか、周辺または中心部の視力喪失があると指摘しています」

 問題とされる化粧品は通常、米国以外の外国(アジア、アフリカなど)で製造され、SNSで宣伝、販売されているという。美白やアンチエイジングに関連する美容製品というふれこみで、通常は、加齢によるシミ、そばかすを取り除く美白剤、アンチエイジング剤として米国で市販されていて、思春期の子供たちはニキビ用として使っているという。

 米国皮膚科学会誌電子版(2013年12月9日号)に米国ロマ・リンダ大学の研究者が549の美白製品(オンラインで購入は米国、日本、台湾。店頭購入は米国、中国、台湾、日本、スリランカ)の水銀量を調べたところ、FDAが制限していた含有量を大きく超えていた製品が半数近くあったと報告している。

 FDAと米国の州保健当局がかつて調査したところ、使用していた人の中に水銀中毒を起こしたり、体内の水銀レベルが上昇していた例もあったという。

「水銀中毒の兆候としては、かんしゃく、内気、震え、視覚または聴覚の変化、記憶障害、うつ病、手や足や口の周りのしびれなどがあります。これらの症状が現れたら、すぐにその化粧品の使用をやめて、病院に相談することです。また、水銀を含む可能性のある製品を捨てるときは、ビニールまたは容器に入れて、清掃局に捨て方を連絡することが必要です」

■成分の表示をしっかり確認

 これらの商品の多くは成分表示がされていないという。

「高レベルの水銀の暴露は使用している人に重篤な健康問題を起こすだけでなく、その家族にも及ぶ可能性があります。水銀蒸気を吸ったり、共用タオルなどに水銀が含まれて、意図せず暴露することも考えられます。とくに赤ちゃんが高レベルの水銀に暴露すると脳や神経系の発育に問題が起こる可能性があります。授乳中の赤ちゃんは母乳に混入すると大変なのでより注意することが大切です」

 日本では平成12年9月29日付で厚労省が「化粧品基準」を公示している。総則には「化粧品の原料は、それに含有される不純物等も含め、感染のおそれがある物を含む等その使用によって保健衛生上危険を生じるおそれがある物であってはならない」と定めている。そのうえで、配合禁止として「水銀及びその化合物」としている。

 化粧品の製造販売については都道府県知事の許可が必要で、輸入品目であっても国内流通するものについてはその品目を都道府県知事に報告しなければならない。製造販売の規定に違反した者は3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその両方が科される、などの規定がある。届け出を怠った者は50万円以下の罰金を科されるなどとされる。

 国内の信頼できる業者が扱う化粧品の安全性は高いと言えるが、海外の化粧品をネットで買ったり、成分表がない海外の化粧品などには近づかないことだ。

水銀中毒は視力障害も引き起こす可能性がある

◎追記: 終わり見えず50年、続く訴訟 水俣病、地裁勝訴後も患者認定の壁厚く

配信

毎日新聞

水俣病第1次訴訟の判決から50年を前に開かれた集会で、閉会あいさつを述べる元原告の坂本しのぶさん(右)=熊本県水俣市で2023年3月19日午後3時17分、西貴晴撮影

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