流涙症に行われる「涙管通水試験」の目的、実際の方法、判断、その結果を見ての治療法
目的
涙管通水試験は、流涙を訴える患者さんに対して、涙の排出経路である涙管が正常に機能しているかどうかを確認するための検査です。具体的には、涙が鼻腔内に正常に流れるかどうかを調べることで、涙管の閉塞や狭窄の有無を診断します。この検査は、涙道閉塞症や涙嚢炎などの診断に役立ちます。
実際の方法
涙管通水試験は、以下の手順で行われます:
- 準備: 患者さんをベッドに仰向けに寝かせ、点眼麻酔を行います。これにより、検査中の不快感を軽減します。
- 涙点の確認: 上下いずれかの涙点(目頭の内側にある小さな穴)を確認し、涙点から涙小管に向けて先のとがっていない注射針を挿入します。
- 生理食塩水の注入: 注射針を通じて生理食塩水(生食)をゆっくりと注入します。正常な場合、生食は涙管を通って鼻腔内に流れ込み、患者さんは鼻や喉に生食が流れる感覚を自覚します。
- 逆流の確認: 涙管が閉塞している場合、生食は鼻腔内に流れず、逆流して目から溢れ出ることがあります。また、涙嚢炎がある場合は、膿が逆流することもあります。
判断
涙管通水試験の結果は、以下のように判断されます:
- 正常: 生理食塩水が鼻腔内に流れ、患者さんが鼻や喉に生食が流れる感覚を自覚する場合、涙管は正常に機能していると判断されます。
- 閉塞: 生理食塩水が鼻腔内に流れず、逆流する場合、涙管が閉塞していると判断されます。逆流する生食に膿が混じっている場合は、涙嚢炎の可能性も考えられます。
治療法
涙管通水試験の結果に基づいて、以下のような治療法が選択されます:
- 涙管チューブ挿入術: 涙管が閉塞している場合、涙管チューブを挿入して涙の流れを確保する手術が行われます。この手術は、涙管の閉塞を解消し、涙の排出を正常化することを目的としています。
- 涙嚢鼻腔吻合術(DCR): 涙嚢と鼻腔を直接つなぐ新しい涙の排出経路を作る手術です。この手術は、涙管の閉塞が重度である場合や、涙嚢炎が併発している場合に行われます。
- 抗生物質の投与: 涙嚢炎がある場合、抗生物質を投与して感染を治療します。これにより、炎症を抑え、涙の排出を正常化します。
結論
涙管通水試験は、流涙を訴える患者さんに対して涙管の機能を評価するための重要な検査です。この検査により、涙管の閉塞や狭窄の有無を診断し、適切な治療法を選択することができます。涙管通水試験の結果に基づいて、涙管チューブ挿入術や涙嚢鼻腔吻合術などの手術が行われることがあります。また、涙嚢炎がある場合は、抗生物質の投与が必要です。涙管通水試験は、患者さんの流涙の原因を明らかにし、適切な治療を提供するための重要なステップです。
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