ドライアイ

[No.2374] 流涙症:記事紹介

悲しくないのに高齢者に多い「涙が止まらない」目の病気

昨日の日刊ゲンダイに私のインタビュー記事が掲載されました。

概要:高齢者に多い「涙が止まらない」目の病気について紹介しています。

  • 涙が止まらない原因:涙腺から分泌される涙の量が涙点に入りきれず、目の表面からこぼれ落ちるため。
  • 涙が止まらない病気:ドライアイ、角膜感染症、涙腺炎、涙管閉塞症などがあり、それぞれに原因と症状が異なる。
  • 涙が止まらない治療法:原因に応じて目薬や人工涙液、涙管洗浄や手術などが行われる。自己判断せずに眼科医に相談することが重要。
  • 涙が止まらない予防法:目の乾燥や刺激を避けるために、加湿器や目の保湿剤を使用したり、目を休めたりする。涙の流れを良くするために、目のマッサージや温湿布をしたりする。

リファレンスhc.nikkan-gendai.com

公開日:20240214

    ーーーー記事採録ーーーーーー

「涙が出すぎてモノがぼやけて見える」「悲しくないのに涙が出る」。高齢者の中にはこんな悩みを抱えながらも、「老化の一環だから仕方がない」とあきらめている人も少なくない。どうしたらいいのか。眼科専門医で「自由が丘清澤眼科」(東京)の清澤源弘院長に聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 90代の男性は、数カ月前から悲しくないのに涙がこぼれるようになった。「老化で涙腺が弱ったのか」と自分自身で納得させているが、涙で視野がぼやけて見づらくて仕方がない。最近では大好きなテレビドラマを見るのも厳しくなり、気持ちが落ち込んでいるという。

「涙は血液を原料にして涙腺で作られる液体で、目を守るための成分が含まれています。通常は、まばたきをするたびに涙腺から分泌されて角膜表面に均一に広げられ、余った涙はまぶたの目頭側にある上下の涙点から涙小管に吸い込まれ、涙嚢と呼ばれる袋にたまります。そして、鼻涙管を介して鼻腔に流れる仕組みです。涙が止まらないのは、涙点に入りきれないほどの涙の量が分泌されて、目の表面からこぼれ落ちるからです」

 悲しかったり、悔しかったりしたときも、涙の分泌量は増えて目から滴り落ちる。しかし、なんでもないのに涙がこぼれるのは、「流涙症」という目の病気だという。流涙症になると、目ヤニがたまったり、涙で視界がぼやけたり、目周囲の皮膚がただれたりする。放置すると、細菌感染して涙嚢炎を起こす恐れがあり、目頭の発赤や腫れなどが出る場合もある。

「流涙症には、分泌性流涙症と導涙性流涙症があります。分泌性流涙症は角膜に傷ができたり、アレルギーなどにより目の表面が過敏になって、涙が過剰に分泌されるタイプの流涙症です。導涙性流涙症は涙の排水管である涙道などが詰まり、涙が鼻から喉に落ちにくくなるタイプです」

■ドライアイが潜んでいる可能性も

 分泌性流涙症にはいくつかの目の病気が関係している。

「涙には基礎分泌性涙と反応性涙の2種類があって、高齢者の場合は基礎分泌は減っているにもかかわらず、反応性涙が過剰に分泌されているケースがあります。患者本人は流涙症だと感じて病院を受診するのですが、実際に必要なのはドライアイの治療ということもしばしばあります。ドライアイの場合には、水分を目の表面に保持するヒアルロン酸、涙を絞りだすジクアホソル、角膜の滑りを改善するレバミピドという目薬などが処方されます」

 分泌性流涙症には、結膜炎のほか、スギ花粉症に代表されるアレルギー性結膜炎や、眼瞼内反症(逆さまつげ)などが潜んでいる場合もある。一方、導涙性流涙症では、高齢者の場合には特に結膜弛緩症が隠れていることも多いという。

「結膜とは白目を覆う薄い膜のことで、適度のゆるみがあることで眼球を運動しやすくできます。ただし、この弛緩が強まると、眼球表面の涙の移動が妨げられて適切に涙点から排出されづらくなり、涙があふれるのです。中には、余った結膜が茶目の上に掛かって違和感が出るケースもあります。なお、結膜弛緩症はドライアイとの合併率が高いことも知られています。涙が目全体を自然に覆うことができなくなるからです。治療は弛緩結膜を切除するなどの処置を行うか、ヒアルロン酸や抗炎症薬などを使って症状改善を目指します」

導涙性流涙症には、加齢、眼外傷、副鼻腔炎などによる涙道狭窄もしくは閉塞などが隠れているケースもある。この場合は、既存の鼻涙管の詰まりを取るか新たな排水路を作る手術を行うことになる。

 人が受け取る情報の8割は目から得るという。その障害は人生を損なうことに直結する。「たかが涙」「加齢だから仕方ない」などと思わず、できるだけ治療することだ。

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