人工水晶体と後嚢の間に混濁液が貯留して視力が下る状態(液体後発白内障)について:
- この状態の名称(日本語・英語)
日本語:
液体性後発白内障
または
液体後房混濁(liquefied after-cataract)
英語:
Liquefied after-cataract
または
Elschnig pearl-like liquefied posterior capsular opacification (PCO)
時に、capsular bag distension syndrome(嚢拡張症候群)やlate capsular block syndrome(晩期嚢内液貯留)と呼ばれることもあります。
- 病態・原因
- 白内障手術後に挿入された眼内レンズと後嚢との間に、線維細胞や上皮細胞の遺残による嚢の密閉空間が形成されることがあります。
- 特に硝子体を切除している場合、後房の圧力や対流が減少するため、この密閉空間に**乳白色の液体(細胞成分やタンパク質を含む)**が貯まりやすくなります。
- 結果として視軸が遮られて視力が低下することがあります。
- 標準的治療と選択
標準的治療:
YAGレーザーによる後嚢切開(YAG laser posterior capsulotomy)
- 非侵襲的であり外来での施行が可能。
- IOLの後面と後嚢の間に溜まった混濁液が開放され、視軸が明瞭化します。
- 第一選択として広く行われています。
硝子体再手術(pars plana vitrectomy, PPV)はいつ行うか:
- YAGレーザーで開放できない場合
- レンズの傾き、IOLの不安定性、カプセルの線維化が強くレーザーで切開できないケース
- あるいは、IOLの交換を要する合併疾患がある場合
まとめ:
白内障手術後に眼内レンズを入れた目では、特に硝子体手術をした場合に、数年後にレンズの後ろに白く濁った液体がたまって見えにくくなることがあります。この状態は「液体性後発白内障」と呼ばれ、通常はレーザー(YAGレーザー)で濁りを取り除いて視力が回復します。レーザーが難しい場合には、再度の手術(硝子体手術)が必要となることもあります。
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