目のまわりが赤くはれて、まぶたが腫れ上がる「眼窩周囲蜂巣炎(がんかしゅういほうそうえん)」という病気があります。これは、風邪や副鼻腔炎のあとに細菌感染が目のまわりに広がって起きることが多く、特にお子さんに多く見られます。
従来、このような症状が見られると、「入院して点滴の抗生物質治療」が必要とされることが一般的でした。しかし、2025年3月にオーストラリアで発表された最新の研究では、「中等度」の症状であれば、入院せずに外来通院で点滴治療を行うことができる、という明るい報告がありました。
外来でも安全に治療できる例が増えた
この研究では、1歳から16歳までの、まぶたは腫れていても目は見えており、眼球の動きや奥に広がる炎症はないという「中等度の眼窩周囲蜂巣炎」の子どもたちが対象となりました。彼らは病院の救急外来でまず点滴治療を受け、その後は自宅に戻りながら、通院で点滴を継続し、経過をしっかりフォローされました。
その結果、多くの子どもが入院することなく無事に回復し、集中治療や手術が必要になるような重症化も見られませんでした。治療に使われた抗生物質の点滴は、入院の場合と同じ内容で、3日程度の期間が標準とされました。
注意点:すべての子に当てはまるわけではない
ただし、この研究は1歳未満の乳児や、もともと免疫力が落ちている子どもには当てはまりません。また、ごく一部では見た目よりも重症で、最終的に手術が必要になった例もありました。したがって、医師が状態をしっかり見極めたうえで、入院が必要かどうか判断することがとても重要です。
まとめ:外来治療の選択肢が広がる中で
目のまわりのはれや赤みが見られたときは、なるべく早く眼科を受診することが大切です。今回の研究により、入院せずに自宅で治療を受けられるケースが増えているというのは、保護者にとっても大きな安心材料となるでしょう。
私たちのクリニックでも、必要に応じて適切な医療機関と連携し、迅速な判断と治療ができるよう体制を整えています。お子さんの目の異変に気づいたら、どうぞお気軽にご相談ください。
出典:外来静脈点滴の抗生物質は、小児の中等度の眼窩周囲蜂巣炎の管理に役立ちます レイチェル・K・ソーベル。レビュー:小児における中等度の眼窩周囲蜂巣炎と在宅療法の評価(EPOCH研究、パート2):前向き単一施設コホート研究 McPherson Z,ほか. Clinical & Experimental Ophthalmology, 2025年3月
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