小児の眼科疾患

[No.1049] 視神経萎縮とは

視神経萎縮

■はじめに
視神経は障害を受けると回復しませんし、再生し元に戻ることもありません。様々な原因で視神経や視神経を出している細胞つまり網膜神経節細胞に障害が長期に起こると、視神経と神経節細胞は萎縮して視神経乳頭の色調が蒼白化します。視神経萎縮は、網膜神経節細胞とその軸索である視神経が変性し脱落した状態の総称です。
眼底検査では眼球の後方で視神経障害が起こります。視神経の萎縮は視神経の中でをグリア(神経を支持している細胞)の増殖を伴わない単性萎縮、乳頭が腫れた後にグリアが増殖して生じる炎性萎縮、視神経軸索がアポトーシス(細胞の自然死で跡形も無くなる)を生じて視神経の入り口の乳頭が大きくへこむ緑内障性視神経萎縮に分けられます。視神経がつながっている外側膝状体から大脳皮質の間で神経が障害されても視神経萎縮は目立ったものにはなりません。
原因には視神経の病気または網膜の病気があります。たとえば、優性遺伝性視神経萎縮、Leber 視神経症、Leigh 脳症などの遺伝性視神経萎縮Tay-Sachs 病やNiemann-Pick 病、Krabbe 病のような代謝異常アルコール依存症や風疹などの感染症に罹患した母親から胎内暴露を受けて生じたもの頭蓋内(たとえば下垂体腫瘍)および眼窩内腫瘍による圧迫性視神経症、および外傷性視神経症、中毒性視神経症や視神経炎によるものなどや緑内障性視神経症が視神経の病気、網膜色素変性症、網膜剥離、未熟児網膜症などから順行性に視神経の変性を生み出すものがあります。
■注意すべき症状
視神経線維が少なくなると視力や視野が障害されます。幼少期は視力の発達途上のため、成長が遅れているのか障害が発生したかは区別がつきにくい時があります。小児の発達が遅延または後退している場合、行動異常がある場合は視機能低下を疑って眼科へ受診してください。対光反応、年齢に応じた視力検査や視野検査、眼底検査、その他さまざまな検査が鑑別診断のため必要です。
■治療と管理
視神経萎縮自体を治す治療は難しいので早期に発見し進行を食い止めることが必須です。重要なことは、頭蓋内腫瘍など生命を左右する原因となる病気が隠れていないかを早急に調べ、それを取り除くことで萎縮の進行を防ぐことにあります。
■受診のタイミング
視機能障害は早期発見早期治療につきますので、気になる症状があれば、早急に眼科に受診すべきです。
(日本小児眼科学会の記事を参考にしています。)
   ーーー代表的視神経萎縮を示す疾患には、ーーーー

常染色体優性視神経萎縮症(プラス症候群) (ADOA plus) は、視力障害、聴力障害、および筋肉に影響を与える症状を引き起こすまれな症候群です。この症候群は、視神経の変性(視神経萎縮)に関連しています。視神経が損傷すると、視力低下を引き起こします。ADOA plus のその他の症状には、感音難聴や、筋肉痛や筋力低下などの筋肉に影響を与える症状が含まれます。

★レーベル病;レーバー遺伝性視神経症LHON ) は、網膜神経節細胞(RGC) とその軸索のミトコンドリア遺伝性 の変性であり、中心視力の急性または亜急性の喪失を引き起こします。それは主に若い成人男性に影響を与えます。LHONは、主にミトコンドリア(核ではない)ゲノムの変異によるものであり、卵子のみがミトコンドリアを胚に寄与するため、母親を介してのみ伝達されます. LHON は通常、3 つの病原性ミトコンドリアDNA (mtDNA)点変異のいずれかによるものです。. これらの変異は、ミトコンドリアの酸化的リン酸化鎖の複合体 IのND4、ND1、および ND6 サブユニット遺伝子のそれぞれ 11778 GからA、3460 GからA、および 14484 TからCのヌクレオチド位置にあります。ミトコンドリア遺伝の疾患なので、男性は子孫に病気を伝えることはありません。

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