最近、日本人ファーストを唱える政党が勢力を増し、又、万世一系の天皇論を唱えるなどの論調も見られます。そこで中国人及び日本人の遺伝子が時代と共にどのように変遷してきたのかを研究した最近の論調をAIに聞いてみました。時代とともに、遺伝子は周辺と混じるが、全体としては大きな変わりはなかったという感じのようです。
現代の中国人と日本人:遺伝子のながれを比べる
東アジアの人々は、古代から長い時間をかけて「ゆるやかな混ざり合い」を繰り返してきました。最新の古代DNA研究は、単純な“○○人=純粋な一系統”という考え方では説明できないことをはっきり示しています。Nature+1
中国(黄河流域を中心に)
中国大陸は面積が広く、黄河・長江・華北草原・華南沿岸など、地域ごとに古い系統が重なり合っています。とくに黄河流域では、新石器時代後半~青銅器時代にかけて、①在来の北方系農耕民(例:仰韶・龍山文化由来の系統)を軸に、②北西~北方(モンゴル草原側)からの流入、③南方(長江・華南)からの寄与が段階的に加わった像が見えてきました。要するに「東アジア的な基層に、時代ごとの少量の出入りが積み増しされた」イメージです。文明の担い手が“白人系に総置換”された、などの極端な説を支持する証拠はありません。Nature+2Cell+2
近年の研究では、黄河屈曲部(オルドス周辺)で新石器後期に草原系の寄与が増える一方、南方由来の影響も同時に検出されるなど、複線的な交流が確認されています。また山東など下流域では、漢代~現在に至る地域的な連続性も示唆され、全面的な“外来置換”像とは整合しません。Cell+1
日本(列島の三層モデル)
日本列島では、三つの祖先成分が現在の日本人(本州・四国・九州の大多数)を形づくる、というモデルが有力です。①縄文(狩猟採集民)に、②弥生期に大陸系の農耕民(主に北東アジア~大陸東岸系)が流入して混ざり、③古墳期に東アジア大陸由来の追加成分が加わって現在に続く、という流れです。近年の古代ゲノム解析・大規模バイオバンク解析が、この“三層(トリアンセストリー)”を裏づけています。Science+3Science+3PMC+3
実個体レベルでも、山口県・土井ヶ浜の弥生人ゲノムから、縄文基層に大陸系が重なる様子がより精密に示されつつあります。これは「二重構造」仮説をアップデートし、古墳期の追加寄与まで含めた“段階的混合”として理解する方向です。Nature
相対比較のポイント
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混合のスケール:中国は大陸規模で地域差・時代差が大きく、北・西・南の多方向から薄く広い流入が重なるモザイク。日本は「縄文基層に弥生・古墳で段階的に上書き」という“時間分解能の良い”三層の物語で説明しやすい。Nature+1
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“置換”ではなく“重層”:どちらも全面置換より、既存集団に外来成分が上乗せされるケースが中心。人の移動は「波のように重なり合う」ため、今日の地域差はその累積結果。Nature
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古典的人種区分は不適:現代の遺伝学は「コーカソイド/モンゴロイド」といった枠組みではなく、集団間の連続性と混合として描き直す。黄河文明“白人説”のような単純化は、データの主流的解釈と合いません。Nature
まとめ(一般向けメッセージ)
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中国:東アジア的基層を主としつつ、時代ごとに草原・西方・南方の成分が少しずつ加わった「広域モザイク」。
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日本:縄文→弥生→古墳の三段階で混合が進み、現在の日本人へ。
どちらも“単一の血統”ではなく、「交流の歴史」が現在の遺伝的多様性を生み出しています。
参考文献・読みやすい一次/総説系
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Wang CC et al. Nature 2021「東アジアの集団形成」:東アジア古代DNAの基盤研究。Nature+1
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Cooke NP et al. Sci Adv 2021「日本列島の三層起源」:縄文・弥生・古墳の三成分モデルを提示。Science+1
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RIKENプレス+Sci Adv 2024「三層モデルの全ゲノム裏づけと表現型解析」:三層モデルの現代的検証。理研+1
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Zou Y et al. Cell Reports 2025「黄河屈曲部の長期交流」:草原・南方との双方向交流の証拠。Cell
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Ji Z et al. BMC Biology 2025「山東(下流域)の形成史」:漢代~現代の地域的連続性の示唆。BioMed Central
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Kim J et al. J Hum Genet 2025「弥生人全ゲノム(山口・土井ヶ浜)」:弥生期流入の具体像。Nature
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