コンタクトレンズ・眼鏡処方

[No.4036] 使い方を守れば快適に使えるハード・ソフト両レンズの共通の注意点(コンタクトレンズ講話:第3回)

使い方を守れば快適に使えるハード・ソフト両レンズの共通の注意点

コンタクトレンズは、メガネに比べて見た目や行動の自由度が高く、多くの方にとって生活を支える便利な道具です。ソフトコンタクトレンズは快適で装用感が良く、ハードコンタクトレンズは視力矯正効果が安定しているなど、それぞれにメリットがあります。しかし、どちらを使う場合も「正しい使い方」を守らなければ、角膜炎や感染症といった重い病気につながる危険性があります。

ここでは、ハード・ソフトの両方に共通して患者さんに気をつけていただきたい大切な注意点を整理してお伝えします。


① 清潔な手で扱うこと

コンタクトレンズは直接角膜に触れる医療用具です。装用や取り外しの際に、手に細菌やウイルスがついていると、レンズを通じて角膜に感染症を起こす危険があります。必ず石けんで手を洗い、清潔な状態でレンズを扱う習慣を守りましょう。


② 使用期限と装用時間を守る

ソフトレンズには「1日使い捨て」「2週間交換」など、ハードレンズには「数年使えるが定期検査必須」といった使用目安があります。これを超えて使用するのは非常に危険です。また、1日の装用時間も大切です。一般に12〜14時間程度が目安で、長時間の連続使用は角膜の酸素不足を招きます。レンズは「使い捨て期限」と「1日の使用時間」を守ることが基本です。


③ レンズの洗浄と保存を怠らない

ソフト・ハードを問わず、使用後のレンズは必ず専用の洗浄液で汚れを落とし、専用ケースに保存してください。特に保存液や洗浄液の使い回し、水道水でのすすぎは絶対に避けましょう。水道水には微生物(アカントアメーバ)が含まれており、重症の角膜感染症の原因となることがあります。


④ 寝るときは必ず外す

「つい眠ってしまった」「短時間だから大丈夫」と思ってレンズをつけたまま寝ることは大変危険です。涙の循環が止まり角膜に酸素が届かなくなるため、角膜障害や感染症を起こすリスクが高まります。オルソケラトロジーのように治療目的で寝て使用する特殊なレンズを除き、必ず就寝前に外す習慣を徹底しましょう。


⑤ 自覚症状を軽視しない

ゴロゴロ感、充血、かすみ、痛みなど、少しでも異常を感じたら「我慢できるから大丈夫」と思わず、すぐにレンズを外してください。そのまま装用を続けると、角膜潰瘍や視力低下といった取り返しのつかない合併症に至ることがあります。症状が続く場合は必ず眼科を受診してください。


⑥ 定期検査を受ける

コンタクトレンズは「高度管理医療機器」と呼ばれる医療用具です。定期的に検診を受けることで、角膜の状態やレンズのフィッティングが正しいかを確認できます。自分では気づきにくい角膜のトラブルや、眼圧・涙の状態もチェックできるため、安全に使い続けるためには欠かせません。


まとめ

コンタクトレンズは正しく使えばとても快適で便利な道具です。しかし「もったいないからもう少し」「少しくらい大丈夫だろう」という油断が、目の健康を一瞬で奪ってしまうこともあります。

清潔・期限・装用時間・睡眠時の取り扱い・異常の早期対応・定期検査、この6つのポイントを守ることで、ハードでもソフトでも安全に使用することができます。

当医院では、患者さんが安心してコンタクトレンズを使えるよう、定期検査や相談を随時行っています。レンズの使用で不安や疑問があるときは、どうぞ遠慮なくお声がけください。

正しい知識と習慣を身につけて、快適で安全なコンタクトレンズ生活を送りましょう。

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