コンタクトレンズ処方のついでに見つかる「緑内障」
― 定期検査の大切さを改めて考えましょう ―
皆さま、こんにちは。自由が丘清澤眼科の清澤です。
最近、コンタクトレンズの処方を希望して来院される方の中に、緑内障の初期所見が見つかることが少なくありません。視力も良く、見え方に特に不自由がないためご本人は驚かれますが、検査を進めるとすでに視神経乳頭の陥凹(かんおう)の拡大や網膜神経線維層の欠損が見つかり、精密な視野検査で緑内障性視野欠損を確認できることがあります。
■ 緑内障とはどんな病気?
緑内障は、視神経が徐々に障害される病気で、一度失われた視野は回復しません。日本では中高年の20人に1人が罹患しているとされ、失明原因の上位に位置します。特徴的なのは、初期のうちはほとんど自覚症状がないことです。
視野の欠けが出ても、両眼で補い合うために気づかず進行してしまうケースが多く、気づいた時には進行期ということも珍しくありません。
■ コンタクト処方で気づく理由
コンタクトレンズを新しく作る際には、眼底や角膜を詳しく観察します。
そのとき、視神経乳頭の形の異常や、OCT(光干渉断層計)で神経線維層が薄くなっている所見を偶然見つけることがあります。
コンタクトレンズの調整そのものには関係しませんが、こうした発見は早期診断の大きなきっかけになります。
■ 定期的に行うべき検査とその頻度
緑内障は「静かに進む病気」だからこそ、定期的なチェックが欠かせません。以下の検査をお勧めしています。
-
眼圧測定(年1〜2回)
眼圧が高いとリスクが上がりますが、正常眼圧緑内障も多いため、これだけでは不十分です。 -
眼底写真またはOCT検査(年1回)
視神経の形や神経線維層の厚みを記録し、前回と比較することで進行を早期に発見できます。 -
視野検査(ハンフリー30-2など)(初回に確認し、その後は半年〜1年ごと)
見える範囲を定量的に調べる重要な検査です。疲れや集中力の影響を受けやすいので、落ち着いた状態で行うのが望ましいです。
■ 緑内障が疑われたら
もし疑わしい所見が見つかった場合は、次のような対応がとられます。
-
確定診断のために、OCTと視野検査を併用し、左右差や経時的変化を確認します。
-
進行がみられる場合は、点眼治療を開始して眼圧を下げることで視神経の負担を軽減します。
-
治療を始めても、数か月〜半年ごとの定期再検査が必要です。病気の進み具合に応じて治療方針を調整していきます。
■ 患者さんへのメッセージ
緑内障は「早く見つけて、ゆっくり進ませる」ことが何より大切です。
一度欠けた視野を取り戻すことはできませんが、早期発見・早期治療で生涯視力を守ることは十分に可能です。
コンタクトレンズ処方のための来院でも、眼科では単に度数を測るだけでなく、目の健康を総合的に確認する機会になります。
「見えているから大丈夫」と思わず、40歳を過ぎたら年に一度の眼底・OCTチェックを習慣にしていただくと安心です。
皆さまの目の健康を守ることが、私たち眼科医の使命です。




コメント