中心性漿液性網脈絡膜症が治ったあとに気をつけたい「再発のサイン」
いったん治った中心性漿液性網脈絡膜症(ちゅうしんせいしょうえきせいもうみゃくらくまくしょう)でも、時間がたってから再発することがあります。これは、網膜の下に再び水(漿液)がたまる病気で、30〜50歳代の男性に比較的多く見られます。ストレスやホルモンバランスの変化、夜更かしや多忙な仕事環境が関係するといわれています。
◎再発のときに現れる自覚症状
病気が再び始まるとき、患者さん本人がまず気づくのは「見え方の変化」です。典型的には次のような症状が現れます。
-
中心が少し暗く、ぼんやりする
-
真っすぐな線がゆがんで見える
-
文字の一部が薄く見えない
-
片方の目で見ると色が少し違って見える
初発時ほどはっきりした視力低下を感じないこともありますが、「なんとなく見えづらい」「スマホの文字の一部がにじむ」といった軽い違和感が最初のサインになることが多いです。
また、以前に比べて視力検査で0.1~0.2下がる、または視力は保たれていてもコントラスト(白黒のはっきり感)が落ちる場合も注意が必要です。
◎検査で見られる再発の変化
再発を早期に見つけるうえで、最も鋭敏なのはOCT(光干渉断層計)検査です。OCTを数本の「5ラインズスキャン」で定期的に撮影しておくと、網膜のごく浅い部分に新しい漿液(しょうえき)貯留や網膜色素上皮(RPE)の微小な剥離が現れるのを早く見つけることができます。
再発では、以前のRPEの不整部に沿って小さなドーム状の膨らみや境界の反射変化が見られることが多いです。蛍光眼底造影(FA)や自発蛍光画像(AF)を撮ると、古い病巣の周辺に新しい漏出点が出ている場合もあります。
また、ハンフリー視野10-2で中心感度のわずかな低下が広がっているときも、再活動を示すサインです。
◎再発のきっかけとして考えられること
再発は「体の状態の変化」と関係します。代表的な要因には次のようなものがあります。
-
精神的ストレスや寝不足
-
副腎皮質ホルモン(ステロイド)薬の内服・吸入
-
過労・夜間勤務などによる生活リズムの乱れ
-
高血圧や胃薬(特にステロイド系成分)による影響
特にステロイドを含む薬(喘息や皮膚炎の治療などで使われることが多い)は、再発の誘因となることが知られています。
また、慢性的なストレスで体内のコルチゾールが高くなると、脈絡膜(網膜の下の血管層)の透過性が上がり、再び水が漏れ出しやすくなります。
◎まとめ:再発を防ぐために
中心性漿液性網脈絡膜症は、多くの場合自然に回復しますが、「治った後」も油断はできません。
再発を防ぐには、
-
定期的にOCTで経過をチェックする
-
睡眠と休養を十分にとる
-
長期のストレスやステロイド薬使用に注意する
ことが大切です。
もし再び「中心がかすむ」「文字がゆがむ」などの変化を感じたら、早めに眼科を受診してOCT検査を受けましょう。初期に発見できれば、治療は軽く済み、視力の低下を最小限に抑えることができます。



コメント