プリンセチアはブーゲンビリアに似ていますか?
――色鮮やかな苞が持つ共通点と、ちょっとした“目のトリビア”
クリスマスが近づき、玄関先や店先を明るく彩るピンク色の鉢花として、近年よく見かけるのが「プリンセチア」です。今回、読者の方から「この花はブーゲンビリアに似ていませんか?」というご質問をいただきました。確かに、鮮やかな色合いと華やかな印象は、南国植物のブーゲンビリアにも通じる雰囲気があります。
プリンセチア(ポインセチアの仲間:トウダイグサ科ユーフォルビア属)と、ブーゲンビリア(オシロイバナ科ブーゲンビリア属)は、植物学的にはまったく別のグループに属し、近縁ではありません。どちらも「花弁のように見える部分」が実際には「苞(ほう)」で鮮やかな色を持つという点が似ていますが、分類学上は科も属も異なります。プリンセチアは多肉質の茎と乳液が出るのが特徴で、ブーゲンビリアはつる性でトゲを持つことが多いなど、生態的な性質も大きく異なります。
プリンセチアとブーゲンビリアは全く異なる植物ですが、“花のように見える部分が実は花ではない”という共通点があります。ここが似ていると感じる理由でしょう。
■ プリンセチアとは?
プリンセチアはポインセチアの園芸品種の一つで、特に鮮やかなピンク色の苞(ほう葉)が特徴です。苞とは、葉が変化して花を囲むように色付いた部分で、私たちが「花びら」と思っているものの正体です。
本来の花は苞の中央にある小さな黄色い粒状の部分で、非常に控えめです。冬の花として人気ですが、寒さに弱く、10℃以下の環境では元気を失いがちなので、室内での管理が適しています。
■ ブーゲンビリアとは?
一方のブーゲンビリアは南米原産の蔓性植物で、紫・赤・ピンク・白などさまざまな色調の苞を持つ華やかな植物です。温暖な気候を好み、屋外で旺盛に伸びていく姿が南国らしく、沖縄など日本の温暖地では庭木としても見られます。
ブーゲンビリアの“花”に見える部分も、やはり苞です。本当の花は中央にある小さな筒状の部分に過ぎず、普段はあまり目立ちません。
■ 似ている理由:色づく「苞」の美しさ
両者が似て見えるのは、花ではなく苞が主役になっている点です。植物は本来、受粉のため昆虫を誘引する仕組みとして花を発達させましたが、これらの植物では葉が色付いて“花の代わり”を務めています。
特に濃いピンク色のプリンセチアは、ブーゲンビリアの明るいピンク色と雰囲気が近く、視覚的な華やかさが共通しています。
■ 眼科的なトリビア:プリンセチアを含むポインセチアの仲間の乳液は目に注意
プリンセチアを含むポインセチアの仲間には、折れた茎や葉から白い乳液(ラテックス)が出てくることがあります。これは皮膚や粘膜に触れると刺激性があり、特に目に入ると強い痛みや充血を引き起こします。
● 万一目に入った場合の対処
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すぐに流水で5〜10分以上しっかり洗う
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コンタクトレンズは外す
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痛みや充血が続く場合は眼科受診を推奨
重篤な後遺症を残すことは一般的にありませんが、小児やペットがいる環境では注意したいポイントです。なお、ブーゲンビリアにも樹液による皮膚刺激が報告されているため、園芸作業時には手袋が安全です。
■ 色と目の科学:鮮やかなピンクの効果
プリンセチアやブーゲンビリアのようなビビッドなピンク色は、網膜の**錐体細胞(特にL錐体・M錐体)**が強く刺激される色域にあり、視覚的な印象を強く残す色です。クリスマスシーズンに明るいポインセチアが多用される理由の一つに「視覚的な華やかさ」が挙げられます。
■ まとめ
プリンセチアとブーゲンビリアは異なる植物ですが、
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色鮮やかな“苞”が主役
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華やかなピンク色
という共通点から、確かに似て見えます。
鑑賞する際には、乳液による眼への刺激に注意しつつ、冬のプリンセチア、夏のブーゲンビリアという季節の彩りを楽しんでいただければと思います。



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