「ダイエット」より「ゼロシュガー」──言葉の変化が映す若者の健康観
最近、アメリカの清涼飲料市場で、あるはっきりとした変化が起きています。それは、「ダイエット」と名のついた飲み物が若い世代から敬遠され、「ゼロシュガー」と表示された商品が選ばれるようになってきた、という流れです。
一見すると、どちらも砂糖を使わず、人工甘味料を用いた同じような飲み物です。しかし、若者たちの受け止め方は大きく異なっているようです。「ダイエット」という言葉は、体重管理や我慢を連想させ、古い価値観の象徴のように感じられる一方で、「ゼロシュガー」は、より自然に健康を意識した選択として受け入れられています。
この変化を象徴する出来事として、米ペプシコは2026年のスーパーボウルという、最も注目度が高く広告費も高額なテレビCM枠で、「ペプシ・ゼロシュガー」を前面に打ち出す戦略を取りました。同社はこの2年間、経営資源やマーケティング予算をゼロシュガー商品に集中させてきたといいます。
こうした動きは、ペプシコだけに限りません。キューリグ・ドクターペッパー社も、かつてはゼロシュガー商品を扱っていませんでしたが、現在では40種類以上を展開するまでになりました。背景には、味の改良が進み、砂糖入り飲料に近い満足感が得られるようになったこともあります。
調査会社の担当者は、「『ダイエット』という言葉そのものが、若い世代にとっては時代遅れになりつつある」と指摘しています。健康を意識することは大切でも、「制限」や「我慢」を前面に出した表現は、共感を得にくくなっているのかもしれません。
実際、2025年の米清涼飲料市場では、売上成長の約半分をゼロシュガー飲料が占めたと報告されています。一方で、従来の砂糖入り飲料や、ダイエット飲料の売上は伸び悩んでいます。
私たち眼科医の立場から見ても、こうした動きは無関係ではありません。糖分の過剰摂取は、肥満や糖尿病だけでなく、長い目で見れば目の健康にも影響を及ぼします。一方で、「ゼロ」や「健康」という言葉に安心しすぎて、摂り方への注意が薄れてしまうこともあります。
大切なのは、流行の言葉に振り回されることではなく、自分の体と向き合い、何をどのくらい摂っているのかを意識することなのでしょう。「ダイエット」から「ゼロシュガー」へ──この言葉の変化は、若者の価値観の変化を映す鏡であり、私たち自身の健康観を見直すきっかけにもなりそうです。
出典
Bloomberg
Kristina Peterson
「Gen Z Hates Diet Sodas, But Loves Them With Zero Sugar Branding」
2026年1月26日(日本時間)
(ブルームバーグ日本語版記事より要約)



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