神経眼科

[No.4483] 眼部帯状疱疹は角膜に「薄い混濁」を起こしますか?

眼部帯状疱疹は角膜に「薄い混濁」を起こすのか

https://images.openai.com/static-rsc-3/89z8Fu-7RFYApSDrI72UkJLENN6Se-X9-00JNQ8g0tc7QxQOOP6z2ZFVF-8FkOCAcKSAoEi2-5SG25wrUOwLifmDUzspttp6QeILkgPvoR4?purpose=fullsize&v=1
https://www.researchgate.net/publication/233942200/figure/fig1/AS%3A214197951569929%401428080179901/Case-1-Fluorescein-staining-of-corneal-pseudodendrite.png
https://www.researchgate.net/publication/350376026/figure/fig1/AS%3A1023359722737666%401620999379181/Representative-images-of-the-slit-lamp-photograph-of-eyes-with-the-different-involvement.ppm

眼部帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が三叉神経第1枝(眼神経)領域で再活性化して起こる病気です。額やまぶたに片側性の水疱と強い痛みを伴い、眼合併症を起こすことがあります。急性網膜壊死(ARN)を数%で合併することが知られていますが、実臨床でより頻度が高いのは前眼部、特に角膜の炎症です。結論から言えば、眼部帯状疱疹は角膜炎を合併し、角膜に「薄い混濁(白いかすみ、haze)」を生じることがあります。

角膜炎の型はいくつかあります。発症初期には上皮型角膜炎がみられ、角膜表面に偽樹枝状病変が出現します。軽度の視力低下や異物感、羞明を伴います。さらに重要なのは実質型角膜炎で、角膜の内部(ストローマ)に免疫反応性の炎症が起こり、スリットランプで淡い白色混濁として観察されます。患者さんは「白くかすむ」「もやっとする」「まぶしい」と訴えます。炎症が強い場合は浮腫や細胞浸潤を伴い、治癒後も軽度の混濁が残ることがあります。また、帯状疱疹は三叉神経を障害するため角膜知覚が低下し、神経麻痺性角膜炎を来すことがあります上皮欠損が治りにくくなり、二次感染や慢性的な混濁へ進むことがあり、これも「薄い混濁」として残る原因になります。

急性網膜壊死は網膜の重篤な炎症で視力に重大な影響を及ぼしますが、頻度は低く、まず注意すべきは角膜やぶどう膜など前眼部の炎症です。皮膚症状が軽快しても、角膜実質炎やぶどう膜炎が遅れて出現することがあるため、皮膚科治療のみで終了せず眼科フォローが重要です。

治療の基本は早期の全身抗ウイルス薬(アシクロビルやバラシクロビル)投与です。発症72時間以内の開始が望まれます。角膜実質炎があれば、眼科管理下でステロイド点眼を併用しますが、自己判断での使用は禁物です。上皮障害や知覚低下がある場合は、ヒアルロン酸点眼などで角膜を保護します。炎症がコントロールされれば多くは改善しますが、再発や重症例では永久的な混濁が残ることがあります。

まとめます。眼部帯状疱疹は角膜炎を高率に合併し、とくに実質型角膜炎や神経麻痺性角膜炎では角膜に淡い白濁が生じます。急性網膜壊死は重篤ですが頻度は低く、日常診療では角膜病変への注意がより重要です。皮膚が治っても油断せず、かすみやまぶしさ、痛みがあれば早期に眼科受診を。早期治療と継続的な経過観察が視機能を守る鍵になります。

メルマガ登録
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

最近の記事

  1. 眼部帯状疱疹は角膜に「薄い混濁」を起こしますか?

  2. 「金・銀・ビットコイン暴落」は偶然ではなく“設計された金融戦争”だ、:動画紹介

  3. 運動は「脳を再配線」する? ― 持久力を高める新しい神経科学の話題