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[No.4574] ピーナッツアレルギーとは何か ― 命に関わることもある食物アレルギー 眼症状も追記―

ピーナッツアレルギーとは何か ― 命に関わることもある食物アレルギー 眼症状も追記―

ピーナッツアレルギーは、食物アレルギーの中でもよく知られているものの一つで、アメリカでは約2%の人が影響を受けていると報告されています。多くの場合、発症するのは乳幼児期で、中央値は生後14か月頃とされています。子どもの成長とともに自然に治ることもあり、約10~30%の人は後にピーナッツを食べられるようになるとされています。

ピーナッツアレルギーでは、ピーナッツを食べてから通常2時間以内に症状が現れます。症状はさまざまで、皮膚では蕁麻疹(じんましん)や顔や唇の腫れ、消化管では嘔吐や下痢、呼吸器では咳や喘鳴(ゼーゼーする呼吸)などが起こることがあります。さらに重い場合には血圧が低下したり意識が低下したりする「アナフィラキシー」という重篤な全身反応が起こることがあります。アナフィラキシーは、わずかな量のピーナッツでも数分から2時間以内に起こることがあり、食物による致命的アレルギー反応の原因として最も多いものの一つとされています。ただし、実際に死亡に至るケースは非常に稀で、およそ1000万人に1人程度とされています。

アナフィラキシーが起こった場合、最も重要な治療薬はエピネフリン(アドレナリン)です。これは筋肉内に注射する薬で、アナフィラキシーによる死亡の危険を減らす唯一の治療とされています。症状が改善しない場合には5~15分ごとに追加投与が行われます。最近では、鼻から投与するタイプのエピネフリンも米国で承認され、より簡便に使用できる治療法として注目されています。補助的に抗ヒスタミン薬や点滴などが使われることもありますが、エピネフリンが最も重要な薬です。

ピーナッツアレルギーの診断は、まず「ピーナッツを食べた後に症状が出る」という臨床経過を確認することから始まります。そのうえで、皮膚プリックテストや血液検査(特異的IgE抗体検査)が行われます。皮膚プリックテストでは、ピーナッツのタンパク質を皮膚に少量つけて反応を見る方法で、10~20分ほどで結果が分かります。これらの検査は感度が高い一方で、必ずしも実際の症状と一致しない場合もあり、検査が陽性でも実際には食べられる人もいます。そのため、検査結果だけでなく症状の経過を合わせて診断することが重要です。

近年、ピーナッツアレルギーの予防について大きな考え方の変化がありました。以前はアレルギーを避けるために乳児期にはピーナッツを与えないことが勧められていました。しかし研究の結果、むしろ乳児期に少量のピーナッツを食事として導入した方がアレルギーの発症が少ないことが分かりました。2015年の研究では、乳児にピーナッツを定期的に食べさせたグループではアレルギーの発症率が約2%だったのに対し、完全に避けたグループでは約14%でした。この結果を受けて、2017年には米国で乳児期からのピーナッツ導入を勧めるガイドラインが作られ、実際にその後ピーナッツアレルギーの発症率は減少しています。

治療の面でも新しい方法が開発されています。その一つが「免疫療法」です。これはピーナッツのごく少量から摂取を始め、徐々に量を増やしていくことで体を慣らし、誤って食べてしまったときの重い反応を防ぐことを目的とした治療です。現在、米国ではピーナッツ経口免疫療法が承認されており、主に1歳から17歳までの子どもに使用されています。多くの場合6~12か月ほどかけて量を増やし、最終的にはピーナッツ2粒程度に相当する量まで耐えられるようにすることを目標にします。ただし治療中にアレルギー反応が起こることもあり、専門医の管理のもとで行う必要があります。

さらに、近年注目されているのが「オマリズマブ」という生物学的製剤です。これはIgEというアレルギーに関わる抗体を抑える薬で、皮下注射で投与します。2024年にはピーナッツなどの食物アレルギーに対する使用が米国で承認されました。臨床試験では、ピーナッツを摂取しても症状が出にくくなることが示されていますが、費用が高いことや長期投与が必要であることが課題とされています。

このように、ピーナッツアレルギーは重篤な反応を起こす可能性がある一方で、予防や治療の研究も急速に進んでいる分野です。特に乳児期の食事導入の考え方が変わったことは大きな進歩と言えるでしょう。

出典
Anagnostou K, Bluf A, Abrams EM. Peanut Allergy. JAMA. Published online March 11, 2026. doi:10.1001/jama.2026.0193

眼科医からの一言コメント
アレルギー体質の患者さんでは、目にも症状が出ることがあります。例えば花粉症や食物アレルギーのある方では、アレルギー性結膜炎として「目のかゆみ・充血・涙」が強く出ることがあります。特に小児ではアレルギー体質が複数の臓器に現れることが多く、皮膚、呼吸器、消化器、そして眼の症状を合わせて考えることが大切です。食物アレルギーのあるお子さんで目のかゆみが続く場合には、眼科でも相談していただくとよいでしょう。

ピーナッツアレルギーでも、全身のアレルギー反応の一部として眼症状が出ることがあります。代表的なのはアレルギー性結膜炎で、目のかゆみ、充血、涙目、まぶたの腫れなどが現れます。多くは皮膚症状や呼吸器症状と同時に起こりますが、強く目をこすると角膜障害や視力低下の原因になることがあるため注意が必要です。

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