清澤のコメント:先日原稿を書き記者さんに託した記事。ワールドカップの開幕を待って、掲載されました(この記事前半)。幸いにもこの外傷を経験した遠藤選手が大活躍されたそうで良かったです(記事末尾参照)。
◎ 脳震盪で起きる目の異常を軽いと思ってはいけない 5年後に障害が残っているケースも
サッカーや柔道など、体が接触する運動でしばしば見られる頭部打撲に伴う脳震盪。先日もサッカーの日本代表選手が対戦相手と接触し、脳震盪で戦線離脱したのは記憶に新しいところだ。
オーストラリアのデータによると、報告された脳震盪は、2002年から2011年までで60%以上増えていて、スポーツイベントによる入院が4500件を超えている。ところが、多くの脳震盪は患者本人が重症だと気がついていない場合が少なくないという。
一般的に脳震盪の症状は一時的な頭痛、耳鳴り、吐き気、嘔吐、疲労や眠気、それに記憶障害。記憶障害はその原因となる事象を忘れてしまう逆行性健忘を伴う。
多くは6時間未満で回復し、画像には神経的な異常は見られない。そのため、後遺症を引きずることもあるという。とくに気をつけたいのが目の異常だ。自由が丘清澤眼科の清澤源弘院長が言う。
「眼球運動障害を伴う視機能障害は脳震盪を起こした人の69%で見られることが知られています。軽い外部脳損傷を持つ軍人を対象にした研究では、5年後でも眼球運動の障害が残っていたとの報告があります。モノが二重に見える輻輳異常は軍人、スポーツ選手、外来患者に多いとの研究データもあります。脳震盪で特に気をつけたいのが幼児の脳震盪です。自身では症状を正確に周囲に知らせることができないため、周りが気をつけるしかありません。頭部打撲後にぼんやりした様子、だるそう、疲れやすい、過度の泣き声、食事や睡眠のパターンの変化、好きなおもちゃに関心がなくなるといった気になる症状が現れたら、医師の診察を受けましょう」
嘔吐や吐き気、30秒以上続く意識の消失、通常より大きい目の瞳孔、左右の大きさの違う瞳孔などではすぐに受診することだ。
たかが脳震盪などと思わず、きちんとMRI検査を含めた診断治療を受けることが大切だ。
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◎ 脳震盪を経験した遠藤選手も活躍:一時は「もう無理かな」と思ったW杯…脳震盪から復帰の遠藤航が4年越しの初ピッチで躍動
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ボランチで存在感を発揮したMF遠藤航(Kaoru WATANABE/JMPA)
[11.23 カタールW杯E組第1節 日本2-1ドイツ ドーハ/ハリファ] 脳震盪から約2週間ぶりの復帰戦を歴史的な逆転勝利で飾った。劣勢に耐えた前半も、攻勢に転じてミラクルを起こした後半も日本代表MF遠藤航(シュツットガルト)はピッチに立ち続けた。日本が誇る“デュエル王”じゃ初めてW杯のピッチに立ち、「最高でしたね。これを求めてずっとやってきた。楽しむだけだと思ってやって、勝てて良かった。楽しめた。きつかったですけど」と、笑顔を浮かべた。(中略) 今月8日のヘルタ・ベルリン戦で相手選手と接触し、激しく頭部を打ち付けた。「正直、最初に入院したときはもう無理かなと思った。結構、頭が痛かったし、気持ち悪くて吐いたりしていたので。でも、その次の日くらいからだいぶ回復して、もしかしたら普通にいけるかもと思って、あとはコンディションを回復するだけだった。間に合って良かった」。初戦を無事に終え、本音を打ち明けた。
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