超音波検査はひところと比べると診断的価値は下がっていると思われます。今回の論文では巨細胞性動脈炎の診断に超音波が並行して行える有用な検査として紹介されています。おそらく虚血性視神経症を示す臨床症状がある症例にBSRとリウマチ検査を採血で調べ、そのうえで余裕と機材があれば超音波検査を行うという事でよいのではなかろうかと思いました。
ーーーー論文要旨ーーーー
超音波は、巨細胞性動脈炎の可能な診断テストです
デンマークの研究結果は、巨細胞性動脈炎 (GCA) の診断において、超音波検査が側頭動脈生検のコンパニオン検査になる可能性があることを示しています。
研究デザイン
これは、側頭動脈生検と超音波検査を受けた GCA の疑いがある 78 人の患者の前向き横断研究でした。肯定的な超音波所見は、血管壁の肥厚の増加 (ハローサイン) または血管壁の肥厚による非圧縮性動脈 (ポジティブな圧縮サイン) でした。GCA の診断は、症状、検査所見、投薬、炎症マーカー、血管画像、および生検結果に基づいて、神経眼科およびリウマチ学の専門医によって確立されました。
結果
78 人の患者のうち 35 人が最終的に GCA と診断されました。生検は 24 人の患者で陽性であり、その全員が臨床的に GCA と診断されました。超音波は 31 人の患者で陽性であり、そのうち 22 人は臨床的に GCA と診断されました (9 偽陽性)。逆に、超音波検査で陰性だった 47 人の患者のうち、13 人が最終的に GCA と診断されました。生検と超音波の感度は同等であり (それぞれ 69% と 63%)、特異度は超音波よりも生検の方が高かった (それぞれ 100% 対 79%)。圧迫サインは最高の診断性能を示しました。
制限事項
この研究では、GCA の正確な診断基準は明確に述べられていませんでした。診断を決定するために専門家を使用することは合理的と思われますが、主観的な評価の余地があり、誤診につながり、データに影響を与える可能性があります.
臨床的な意義
側頭動脈生検は、GCA の診断のゴールド スタンダードと長い間考えられてきました。侵襲性の低い処置と考えられていますが、それでも処置は処置です。側頭動脈の超音波検査ができるという概念は興味深いものであり、超音波検査は非侵襲的で、高速で、費用対効果が高いため、有効な検査として徐々に受け入れられつつあります。さらに、超音波は動脈の全長を評価できます。超音波は、現時点では側頭動脈生検に取って代わるものではないようですが、追加の有用な検査となるようです。その有用性は経験豊富な超音波検査技師に依存していますが、この技術で追加のデータと経験が蓄積されるにつれて、側頭動脈生検が将来行われなくなる可能性があります。
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