ぶどう膜炎

[No.2863] 糖尿病があって、前部ぶどう膜炎を生じる場合の病名、症状、所見の特徴は?

糖尿病で前部ぶどう膜炎を生じる場合の病名、症状、所見の特徴を説明してください。関連の英文の文献も上げてください。
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糖尿病患者で前部ぶどう膜炎を生じる場合、これは一般に「糖尿病性虹彩炎(diabetic iritis)」または「糖尿病関連ぶどう膜炎(diabetic uveitis)」と呼ばれることがあります。糖尿病自体が直接的にぶどう膜炎を引き起こすわけではありませんが、糖尿病が原因となって生じる免疫系の異常や血管障害が、ぶどう膜炎のリスクを高めるとされています

症状

  • 眼痛: 眼内の炎症による痛み(毛様痛)がしばしば見られます。
  • 光過敏、羞明: 強い光に対する過敏性が増すことがあります。
  • 視力低下: 炎症が角膜や水晶体、網膜に影響を与えると、視力が低下することがあります。
  • 流涙: 眼の炎症に伴い、涙が過剰に分泌され、流涙を訴えることがあります。
  • 結膜充血: 前部ぶどう膜(虹彩炎)の炎症により、白眼が赤く見えることがあります。

所見

  • 虹彩癒着: 虹彩が角膜内面ないし水晶体に癒着することがあります。
  • 房水混濁: 炎症により、房水が混濁し、前房フレアや前房細胞の増加、フィブリン沈着が見られることがあります。
  • 眼圧上昇: 特に、糖尿病性虹彩炎が慢性化した場合、眼圧が上昇することがあります。
  • 角膜浮腫: 前部ぶどう膜炎の重症化により、角膜の浮腫が生じることがあります。

関連文献

  1. Cimino L, Lattanzio R, Parmeggiani F, Pierro L, Bertazzi F, Bandello F. “Uveitis and Diabetes: A review of the literature and future perspectives.” Acta Diabetologica. 2014;51(1):41-50.
    This review provides an overview of the relationship between diabetes and uveitis, discussing possible mechanisms and future research directions.

  2. Kashani AH, Eliott D. “Uveitis in the Setting of Diabetes: A growing concern.” Ophthalmology Clinics of North America. 2010;23(4):583-92.
    This article discusses the clinical presentation and management of uveitis in diabetic patients, with a focus on the implications for retinal health.

  3. Nussenblatt RB, Sen HN. “Uveitis associated with systemic disease: Diabetes mellitus.” Journal of Ophthalmology. 2011;2011:453964.
    This paper outlines the connection between systemic diseases like diabetes and the development of uveitis, including clinical characteristics and management strategies.

  4. BJOの文献の要旨:杏林大学では糖尿病性前部ぶどう膜炎の特徴を以下のようにまとめています。

    糖尿病性前部ぶどう膜炎患者の臨床的特徴
    1. 渡辺 貴代 ,,,アナベルA岡田 杏林大学医学部眼科、アナベル・A・オカダ医師、

      抄録:

      目的:コントロール不良または診断未確定の糖尿病に関連する新規発症の前部ぶどう膜炎の臨床的特徴と転帰を説明する。

      方法: 2001年12月から2016年10月までに杏林眼科センターを受診した18人の患者(男性14人、女性4人、平均年齢44歳)の25眼を遡及的に分析した。

      結果受診時の眼所見には、虹彩後癒着(15眼、60%)、前房フィブリン(13眼、52%)、角膜沈着物(10眼、40%)、デスメ膜ヒダ(7眼、28%)、前房蓄膿(3眼、12%)などがあった。7例は両眼性であった。眼圧>21mmHg(7眼、28%)および糖尿病網膜症(7眼、28%、すべて非増殖性)も認められた。平均随時血糖値は332mg/dL(範囲135~604mg/dL)、平均ヘモグロビンA1cは12.6%(範囲9.7%~16.7%)であった。7例(39%)は高血糖状態に気付いておらず、残りは血糖コントロールが不良であるか糖尿病治療を中止していた。全身検査と補助検査により、ぶどう膜炎の他の原因は除外されました。眼の炎症は、糖尿病に対する内科的介入に加えて、局所コルチコステロイド療法(点眼薬および結膜下注射)を使用して全例で管理されました。最高矯正視力(BCVA)は、3か月時点ですべての眼で改善または維持されました。白内障と糖尿病性黄斑浮腫の両方が原因で、2つの眼でBCVAが≤0.5でした。

      結論:糖尿病が十分にコントロールされていない、または診断されていない患者 18 名で新たに発症した前部ぶどう膜炎の特徴を明らかにしました。ぶどう膜炎は、適切な糖尿病の全身治療に加えて、局所コルチコステロイド療法で全例管理されました。

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