ドライアイ

[No.2353] 副涙小点,先天性涙管瘻(congenital lacrimal fistula)

ドライアイに対する治療としてコラーゲンプラグを下涙小点に注入すると本来の涙小点から数ミリ内側に別に小さな開口があり、そこから注入したコラーゲンの流出を見る場合があります。調べてみるとこれは(文献は見つかりませんが)副涙小点と呼ぶべき物のようです。これは、結膜側に開口した一種の先天性涙管瘻(congenital lacrimal fistula)であるようです。開口部が皮膚面で涙液が顔面に出ていれば下の動画のように手術治療の対象になりますが、結膜側の物については処置の記載が見つかりませんでした。

 先天性涙管瘻(congenital lacrimal fistula)についての主要なレビューをご紹介いたします。(Jia Quan Chaungほか (2016) Congenital lacrimal fistula: A major review, Orbit, 35:4, 212-220, DOI: 10.1080/01676830.2016.1176052

先天性涙管瘻は、皮膚と共通涙管、涙嚢、または鼻涙管を結ぶ上皮内の管が発達不全によって形成される珍しい状態です。

  1. 臨床的特徴

    • 先天性涙管瘻の患者は、瘻孔または目からの涙、または両方からの涙を経験することがあります。
    • ほとんどの症例は単側性であり、通常は内眼角の下方外側に位置しています。
    • 瘻孔の終端は、涙嚢近くの皮下組織で盲目的に終わることがあります。
  2. 手術的介入

    • 症状が手術的介入を必要とする場合、手術的管理が検討されます。
    • プローブは上下の涙点と瘻孔の経路に挿入されます。
    • 内眼瞼腱の前部クルスは、骨挿入近くで切断されます。
  3. 病因と形態

    • 先天性涙管瘻の病因に関する理論が検討されています。
    • 形態学的および組織学的な証拠から、これらの瘻孔は異常な涙点を表している可能性があります。
  4. 発生率

    • 先天性涙管瘻は、おおよそ2000人に1人の割合で発生すると推定されています。
    • 一部の症例は出生後しばらく気付かれないことがあります。

この興味深い状態は、数世紀にわたり研究者たちを魅了しており、その詳細を理解することは引き続き探求の対象です。

 清澤はこの病態の手術を手掛けたことはありません。眼形成を扱う眼科医に紹介することが考えられます。気になる方は眼科医にご相談下さい。

 下の動画は下瞼皮膚に開口した副涙小点の切除を示したものです。結膜面への開口例ではありません。

 

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