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[No.3766] 角膜の下3分の一にびまん性表層角膜炎:就寝時閉瞼不全?対策は?

角膜の下3分の一に瀰漫性表層角膜炎が帯状に出ていて、涙液のメニスカスが十分ある場合には、閉瞼が十分でないことを疑うことができるが、この角膜がわずかに睡眠中に露出しているのを逃れるためには、ゲル化点眼液または眼軟膏を就寝前(コンタクトレンズを外した後)つけて寝てもらうこと及びそのほかに有効な対策が考えられますか?

はい、ご指摘のように、角膜下方3分の1に帯状の表層角膜炎(superficial punctate keratitis, SPK)がみられ、涙液メニスカスが十分である場合は、夜間の閉瞼不全(nocturnal lagophthalmos)が原因であることがしばしばあります。このようなケースでは、就寝前にゲル化点眼液(ヒアルロン酸高濃度製剤など)や眼軟膏(例えばビタミンA軟膏や抗生物質軟膏)を用いることは非常に理にかなっています。以下に、追加あるいは補助的に検討できる対策を整理します。

✅ 基本的対策(就寝時に行う)

  1. ゲル化点眼液や眼軟膏の使用
     既にご提案の通り。
     涙液保持に加え、保護膜の形成により機械的刺激も軽減。
  2. 眼瞼テープによる閉瞼固定
     軽く下眼瞼を上方に持ち上げて、上眼瞼とともに医療用テープ(絆創膏)で固定。
     利点:薬剤にアレルギーがある場合の代替策。
     注意点:皮膚刺激に注意。
  3. アイシールドの使用(眼帯や湿潤チャンバーゴーグル)
     眼球が外気にさらされるのを防ぎ、湿潤環境を保つ。
     特に顔面神経麻痺や眼瞼閉鎖力が弱い患者に有用。

✅ 日中の補助的対策

  1. 人工涙液(防腐剤無添加)によるこまめな点眼
     昼間にも乾燥を助長しないよう配慮。
  2. 眼瞼のトレーニング(まばたき訓練)
     閉瞼不全の軽度例では、意識的な「ぎゅっと閉じる」動作を習慣化。
  3. 下眼瞼の支持が弱い場合、テーピングの訓練的使用や支援具の検討
     軽度の眼瞼下垂や弛緩が原因である場合。

✅ 根本的原因の検索と対応

  • 顔面神経麻痺、甲状腺眼症、眼瞼形成不全など、閉瞼不全の原因を念頭に置いた評価も重要。
  • 睡眠時無呼吸症候群(CPAPマスク使用)による漏れた空気による角膜炎の例もあります。

✅ 手術的選択肢(重度例に限定)

  • tarsorrhaphy(一時的・部分的)
     閉瞼不全が高度で、他の手段で対応困難な場合。(ふつうはここまでの処置は不要です)

✏️まとめ

角膜の下の方に炎症が見られ、涙はしっかりあるのに乾燥するという方では、夜間にまぶたが完全に閉じていない可能性があります。寝る前に保湿性の高い点眼や眼軟膏を使うほか、医療用テープで軽くまぶたを閉じたり、湿潤環境を保つ専用の眼帯を使うことで、角膜を守ることができます。

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