角膜疾患

[No.2092] 抜け落ちた睫毛がマイボーム腺開口部に刺さり、角膜びらん

昨晩から片方の目にゴミが入ったようで痛いと言って受診した患者さん。このような例はこの2年間で2例目です。どうして抜け落ちた睫毛(睫毛)が下瞼マイボーム腺の開口部にぴったりと刺さったのかはわかりません。下瞼のマイボーム腺から生えたような形の睫毛の先が角膜に触れたため、その周りが角膜びらんになっています。治療はもちろん睫毛抜きでこの睫毛を除去して終了。治療項目は結膜異物除去です。探してみましたが、このような症例報告を見付けることはできませんでした。こんなこともあるというだけのお話です。

 角膜に釣り針が刺さった例とか、角膜にクリのイガが刺さった例、そして蜂に刺されて失明した例など、眼科医局の新人デビュー戦には良く使われる症例があります。どこかの新入医局員が症例報告されるなら、この写真を提供する用意が有ります。

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指摘している状況は、抜け落ちた睫毛がマイボーム腺の開口部に詰まり、その先が角膜をこすって角膜潰瘍を引き起こすというものです。

原因: この状況は、異所性睫毛や睫毛重生といった睫毛の異常により起こることがあります1。これらの異常は単独では角膜に影響を及ぼすことは少ないですが、他の疾患(ドライアイやマイボーム機能不全、外傷による角膜潰瘍など)と組み合わさることで難治性の角膜潰瘍を引き起こすことがあります1:というのがCo-pilotの回答でしたが、私はこの状態が偶然に脱落した一本の睫毛がマイボーム腺開口部にはまり込んだと考えました。私がこの状況に遭遇したのは初めてではないので、いずれどこかの雑誌のフォトエッセーにでも出てきそうです。

診断: 診断は通常、眼科医による目の詳細な検査によって行われます。医師は特殊な染色液(フローレス染色)を使用して角膜を染色し、角膜びらんの有無を確認します2。(上の写真)

 

治療: 治療は原因と症状によります。睫毛が異常に成長している場合や詰まっている場合は、手術で取り除くこともあります1。私は睫毛抜きで摘出しました。角膜浸食が発生している場合、人工涙液や保護的なコンタクトレンズを使用して角膜を保護し、治癒を促進することもあります2

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Corneal erosion caused by a cilia touching cornea that was stuck into meibomian opening on the lower lid.

 

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