- 視覚障害者の就労問題に関するアンケート調査 江口 万祐子:武蔵浦和眼科クリニック
- 日本全体で32万人。1000人に3人程度。ロービジョン者20歳~70歳代を対象に、就労に関するアンケート調査を行った。
調査に協力が得られた90名のうち、92%が手帳あり。
以上より、見え方が原因で退職、または現在勤務しながらも問題を抱えている視覚障害者が多い現状が明らかになった。
結論は医師として:1,患者に寄り添い、2,安易に離職しないように励まし、3,制度を知っておくこと、そして必要な書類は可能な限り記載する。そしてサポートにつなげることだそうです。スマートサイトモご利用くださいと。
病状進行により、就労継続が困難なケースでは不安から離職を希望する患者もいるが、安易に離職すると復職や再就職は困難であることが多い。2016年4月1日改正の「障害者雇用促進法」により、職業リハビリテーションの推進や職場の合理的配慮が全事業主に義務づけられた。同じ職場で労務内容の変更や配置転換、支援機器の導入により就労継続が可能になる場合がある。産業医が選任の職場では連携や協力をおこない、就業上の配慮や環境の改善をすすめていく。就労継続を促し、働く自信を与えることも眼科医の役割である。
第3演題
社会福祉制度から見た就労支援のあり方 長岡 雄一: 東京視覚障害者生活支援センター
休職と休職以外を分ける。退職(将来設計を見通しての場合もある。訓練も可能。)するかどうか?
視覚に障害のある方の就労に関しては、①仕事につくこと、②仕事を続けること、に大きな課題を抱えていると言える。視覚障害に限らず、障害者の就労に関しては、雇用施策と福祉施策の両面から取り組みがされているが、福祉施策における障害福祉サービスにおいては、①に対しては、主として「就労移行支援」が、②に対しては、「就労定着支援」が準備されている。
就労移行支援(窓口は自遺体だがサービスは別)では、就労にあたって必要な技術の習得のみを実施する訳ではなく、就職の際に必要な面接技法や書類の書き方等もカリキュラムの一部となるし、また、就労に関わる基本的な生活技術の習得も必要な事項となる。特に視覚障害(障害者の指定を受けることが必要)に関して言えば、通勤や社内の移動等を含む環境認知も重要な項目である。パソコンの使用訓練が普通。現実的には少ない。休業してないと利用はできない。障害者職業能力支援開発校(20学校)もある。
就労定着支援は、就職後6ヶ月以降の定着を支援することを目的に実施されるものであり、技術面、心理面での支援等が必要とされるし、一度だけの支援ではなく、定期的な支援が必要になる。
一方、就労移行支援では就労しながらの利用は認められていないし、就職後の利用もできない点。さらには、視覚障害者を対象とする就労移行支援の少なさ。就労定着支援では制度の持つ非経済性等、まだ解決すべき課題は少なくないのが現状であり、利用者の立場からは今後の見直しが必要と考えられる。
第4演題 :職場における視覚障害者の就労支援 村上 美紀:産業医大
就労支援の大前提は「本人が就労を望んでいること」である。本人の意向・意志決定を尊重しつつ支援することが肝要である。視覚障害者の就労先も職種も多様であり、仕事の内容を含む職場環境と本人の職業能力をすり合わせる必要がある。
視覚障害者は、その数が少なく見え方に大きなばらつきがあるため、会社では具体的な問題が出てきたときに個別対応することになる。
主治医が会社に適切な情報提供を行い連携することが望ましい。会社内の担当者は産業医をはじめとする産業保健スタッフのほかに衛生管理者など非医療職の場合も多い。会社に提出する診断書や意見書には会社が求めている情報を非医療職にも理解できるよう記載する。職業能力が予想できるような表現をし、視覚障害を代替えできる方策を提示すると良い。主治医からの情報提供は会社にとっては重みがあり、就労継続に大きな影響力を持つ。
本人が主体性に自分の働き続ける場を醸成できるよう、主治医と職場や支援者がうまく連携する方法を考えたい。
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