眼科検診

[No.158] 視覚障害者の就労の実態 The actual state of employment of visually impaired (臨床眼科学会シンポジウム 7 )聴講印象録

  1. 視覚障害者の就労問題に関するアンケート調査  江口 万祐子:武蔵浦和眼科クリニック
  2. 日本全体で32万人。1000人に3人程度。ロービジョン者20歳~70歳代を対象に、就労に関するアンケート調査を行った。

調査に協力が得られた90名のうち、92%が手帳あり。

現在、“仕事をしている”のは53%であり、そのうちの多くが読み書きや移動・歩行、人間関係など“見え方が原因で仕事上に問題がある”と感じていた。
“仕事をしていない”50%のうち、“見え方が原因で退職した”のは71%であった。事務仕事に限界があったなど。
就労問題について“眼科医に相談する”は58%で、相談内容は“仕事が継続可能かどうか”“業務上の制限など診断書の作成について”“これ以上悪くなった時に他にどんな仕事があるか”等であった。
“眼科医に相談しない”42%の理由は“相談しても解決できないと思う”“治るわけではないから”“同僚に助けてもらっている”であった。「医師に相談できる雰囲気がない」
以上より、見え方が原因で退職、または現在勤務しながらも問題を抱えている視覚障害者が多い現状が明らかになった。
また、就労についての不安や悩みを眼科医に相談するケースは多くはなく、だからこそ、眼科医が視覚障害の就労問題に直面したら対応に戸惑うであろうと推測された。
結論は医師として:1,患者に寄り添い、2,安易に離職しないように励まし、3,制度を知っておくこと、そして必要な書類は可能な限り記載する。そしてサポートにつなげることだそうです。スマートサイトモご利用くださいと。
清澤のコメント:当医院の患者さんであれば、「目と心の健康相談室の荒川看護師」に話していただくとブレークスルーが得られるかもしれません。当医院のロービジョンに対する対応は、現在は微弱な診療所ですから、比較的限られたものです。
第2演題
眼科医療機関での視覚障害者の就労支援
1)障害者は47万人。職場定着は困難で、就労支援が必要だが、連携が不十分。
 視覚障害者の就労支援は職業訓練・教育施設等で実施する事も多いが、まずは眼科医療機関でスタートしなければならない。
2)就労支援の3つのポイントは、
 1. 視機能の正確な評価(一般検査で良い)就労関連の状況を把握する。
 2. 視機能に応じた視覚補助具の選定・訓練、
 3. 職場環境整備のための医療情報提供である。
 4,実際のロービジョンケアは職種、業務内容、労働環境、通勤状況、更に心理状態まで配慮し実施する必要がある。
 5,医療情報の提供
 身体障害者手帳取得による職業訓練の認可や障害者雇用枠への変更、就労と並行し障害年金の受給可能等を知らない患者も多い。
 地域の職業関連施設(ハローワーク、就労支援施設、障害者就業、生活支援センター、認定NPO法人タートル等)とネットワークを作成しておくことで、必要な情報を必要な時に提供することができる。
 病状進行により、就労継続が困難なケースでは不安から離職を希望する患者もいるが、安易に離職すると復職や再就職は困難であることが多い。2016年4月1日改正の「障害者雇用促進法」により、職業リハビリテーションの推進や職場の合理的配慮が全事業主に義務づけられた。同じ職場で労務内容の変更や配置転換、支援機器の導入により就労継続が可能になる場合がある。産業医が選任の職場では連携や協力をおこない、就業上の配慮や環境の改善をすすめていく。就労継続を促し、働く自信を与えることも眼科医の役割である。
3)症例:タートルの会の利用。障害者雇用枠の利用。
まとめ;聞く、繋ぐ、希望を与える
清澤のコメント:必要な診断書を書くことはやぶさかではないが、あまり患者側の要求を前面に出すと退職を迫られる事にもつながりかねないので、患者に寄り添いつつも診断書や要望書では手加減も必要と思います。

第3演題 

社会福祉制度から見た就労支援のあり方 長岡 雄一: 東京視覚障害者生活支援センター

休職と休職以外を分ける。退職(将来設計を見通しての場合もある。訓練も可能。)するかどうか?

視覚に障害のある方の就労に関しては、①仕事につくこと、②仕事を続けること、に大きな課題を抱えていると言える。視覚障害に限らず、障害者の就労に関しては、雇用施策と福祉施策の両面から取り組みがされているが、福祉施策における障害福祉サービスにおいては、①に対しては、主として「就労移行支援」が、②に対しては、「就労定着支援」が準備されている。
 就労移行支援(窓口は自遺体だがサービスは別)では、就労にあたって必要な技術の習得のみを実施する訳ではなく、就職の際に必要な面接技法や書類の書き方等もカリキュラムの一部となるし、また、就労に関わる基本的な生活技術の習得も必要な事項となる。特に視覚障害(障害者の指定を受けることが必要)に関して言えば、通勤や社内の移動等を含む環境認知も重要な項目である。パソコンの使用訓練が普通。現実的には少ない。休業してないと利用はできない。障害者職業能力支援開発校(20学校)もある。
 就労定着支援は、就職後6ヶ月以降の定着を支援することを目的に実施されるものであり、技術面、心理面での支援等が必要とされるし、一度だけの支援ではなく、定期的な支援が必要になる。
 一方、就労移行支援では就労しながらの利用は認められていないし、就職後の利用もできない点。さらには、視覚障害者を対象とする就労移行支援の少なさ。就労定着支援では制度の持つ非経済性等、まだ解決すべき課題は少なくないのが現状であり、利用者の立場からは今後の見直しが必要と考えられる。

第4演題 :職場における視覚障害者の就労支援  村上 美紀:産業医大

就労支援の大前提は「本人が就労を望んでいること」である。本人の意向・意志決定を尊重しつつ支援することが肝要である。視覚障害者の就労先も職種も多様であり、仕事の内容を含む職場環境と本人の職業能力をすり合わせる必要がある。
視覚障害者は、その数が少なく見え方に大きなばらつきがあるため、会社では具体的な問題が出てきたときに個別対応することになる。

治癒せず就業上の配慮が長期間必要となる、症状が外部から分かりづらい、診断名が一人歩きしやすい、勤務・安全上のリスク評価が困難、外部機関(主治医、就労支援機関、保健所等)との連携が不慣れなどの課題がある。病状の悪化にともない、どこかで雇用継続困難となる場合もある。労働者・会社双方納得しての就労支援が難しいと言われるゆえんでもある。
主治医が会社に適切な情報提供を行い連携することが望ましい。会社内の担当者は産業医をはじめとする産業保健スタッフのほかに衛生管理者など非医療職の場合も多い。会社に提出する診断書や意見書には会社が求めている情報を非医療職にも理解できるよう記載する。職業能力が予想できるような表現をし、視覚障害を代替えできる方策を提示すると良い。主治医からの情報提供は会社にとっては重みがあり、就労継続に大きな影響力を持つ。
本人が主体性に自分の働き続ける場を醸成できるよう、主治医と職場や支援者がうまく連携する方法を考えたい。

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