Q: 身体障害者の認定のための視野検査として、現在日本ではハンフリー視野計を用いたエスターマン視野測定が行われる。両眼開放の正常人ではその得点は何点以上とされるか?また、思考実験としてこれを片眼だけの開放条件で行うと何点になるか?これは視野からの身体障害者の最も軽い段階の点数に達するか?
A:
1.両眼開放で行うエスターマン視野の正常値
身体障害者手帳の判定に用いられる エスターマン両眼視野検査(Esterman binocular visual field test) は、
エスターマン視野検査で120点満点のスコアで評価されます。
正常視機能を持つ成人では118~120点程度(ほぼ満点)とされるのが一般的です。
理由
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生理的盲点が左右眼で相互補償される
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両眼視では視野欠損がほぼ存在しない
そのため実際の臨床では118点以上 → 実質的に正常と考えられることが多いです。
2.思考実験:片眼のみ開放で行った場合
エスターマン視野は左右両眼の統合視野(binocular field) を測定する設計です。
もし 片眼だけ開放して同じプログラムを行う とすると:主に減点されるのは
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片眼の 生理的盲点(約15°耳側) に入る刺激点
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わずかな周辺点
エスターマンの配置では盲点にほぼ一致する刺激点は約5~6点あります。
したがって理論的には120 − 5~6 ≈ 114~115点程度になると推定されます。
3.身体障害認定基準との比較
視野による身体障害認定では(身体障害者福祉法の基準)
エスターマンスコアは概ね次のように扱われます。
| 等級 | エスターマン得点 |
|---|---|
| 2級 | 70点以下 |
| 3級 | 90点以下 |
| 4級 | 100点以下 |
つまり最も軽い障害(4級)でも100点以下です。
4.結論
まとめると
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正常両眼: 118~120点
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片眼のみで実施(思考実験): 約114~115点
したがって片眼視であってもエスターマンスコアは100点を大きく上回るため、視野基準では身体障害には該当しません。
これは重要な点で、片眼失明者が身体障害者認定される場合は「視力基準」で認定されるのであって、視野基準では該当しないという制度設計になっています。
補足(臨床的な意味)
この結果はよく知られている事実で、片眼失明でも両眼視野はかなり広く保たれるという視覚生理を示しています。
実際
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視野欠損:ほぼなし
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失われるのは
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両眼視
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立体視
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視野の一部重複
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視覚安全性
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であり、視野スコア自体は高いままです。



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