清澤のコメント:良性眼瞼痙攣に伴う涙液異常の特徴とA型ボツリヌス毒素治療による改善:という論文が出ていました。初期においては慶応大学坪田氏らが眼瞼痙攣におけるドライアイを述べており、最近では京都府立大横井氏らの涙液層破壊時間などの見地からの評価が報じられました。私は、眼瞼痙攣にはボトックス投与に併せて、ドライアイの訴えのある例にはヒアレイン、ジクアス、ムコスタなどを処方し、ドライアイの訴えや症状が更に強い例には涙点プラグ挿入も相談しています。
Hosotani, Y., Yokoi, N., Okamoto, M. et al. Characteristics of tear abnormalities associated with benign essential blepharospasm and amelioration by means of botulinum toxin type A treatment. Jpn J Ophthalmol 64, 45–53 (2020). https://doi.org/10.1007/s10384-019-00705-3
要約
目的
良性本態性眼瞼痙攣(BEB)による涙液異常の特徴とA型ボツリヌス毒素(BTX-A)治療の効果を調査すること。
試験デザイン
前向きおよび臨床試験。
メソッド
BEBおよび涙液異常を有する40例(男性12名,女性28例,63.5歳±12.9歳)の40眼を登録した.
業績
視覚的アナログ尺度(VAS)で評価した自覚症状の平均スコアは46.3であり、ドライアイ関連の生活の質スコア(DEQS)は63.7であった。フルオレセイン分解時間(FBUT)は2.7秒±1.6秒であった。フルオレセイン分解パターン(FBUP)の中で、濡れ性の低下の対応するメカニズムを伴うディンプルブレークが最も頻繁であり、29眼(73%)で観察された。NEIスコアは0.4±0.7で、ファンバイスターフェルトスコアは0.6±0.8でした。シルマー1の試験値は13.1±9.4mmであった。18例がBTX-A治療を受け,VASおよびDEQSならびにFBUTの自覚症状の重症度に有意な改善が認められた。メインのFBUPがディンプルブレークからランダムブレークに変わった。
結論
BEBに見られる涙液異常は短いBUT型ドライアイ(DE)に相当し、FBUPsに鑑みて濡れ性低下DEに細分される。
コメント