眼球使用困難症候群を若倉正登先生が「神経眼科初めの一歩」の中で解説しています。その内容を抄出して採録してみます。
Ⅰ、診断の流れ(図で示されており、省略)
Ⅱ、疾患概念:一定の特異的なメカニズムを有した疾患概念ではなく、当事者が保有しているはずの視機能を用いることを妨げられている状態。
1,典型的な眼球使用困難状態:上記の状態の総称。代表格に眼瞼痙攣、(開瞼維持が困難で、視床の過活動)眼瞼痙攣の運動外賞状として高度の羞明、光過敏性が中枢性(非眼球)羞明を起こす。遮光ゴーグルや、遮光レンズを2重に装用し防止やフードをつけて来院する。運動症状は出ていないこともある。
2,様々な病態が症候群に含まれる:ビジュアルスノウ症候群:砂嵐が見える対象物は見えているのに理解が伴わず見続けるのが苦痛など。視線恐怖症、Meares-Irlen症候群。現行法ではその症状は認知されない。
Ⅲ、眼所見と検査所見:症状を説明できる眼所見がない事が重要。光学的不適切や視路疾患はこの概念ではない。高度に持続的な羞明、光過敏、眼痛は眼球局所の疾患に起因しないことがほとんど。散瞳薬使用をきっかけに羞明間を発症することがあるのにも注意。
Ⅳ、治療および対処:根治的治療確率未成立。局所ジストニアとしての眼瞼痙攣なら対症療法を行う。発症原因のイベントを聴取し対応。表2(眼球使用困難症の誘発因子として注意すべき因子):片頭痛。音、光、嗅覚過敏。散瞳検査。鬱。脳炎。頭部外傷。ストレス。向精神薬(特にベンゾ系)。発達障害。特にベンゾ系やX薬(脚注参照)は主治医と相談して離脱を図る。遮光眼鏡と外出自粛。
清澤注:Z薬(ゼットやく、Z-drug)とは、ベンゾジアゼピンに類似した作用を持つ非ベンゾジアゼピン系の医薬品で、不眠症の治療に用いられる。大抵Zの文字で始まる。一部のZ薬は、ベンゾジアゼピンを上回る利点を持っている可能性がある。ベンゾジアゼピンは実際は睡眠構造を悪化させる一方、ザレプロンのようなZ薬は、睡眠構造を乱さないか、そうしたことが少ない。
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