清澤のコメント:本日はボトックスの施術日なので眼瞼痙攣の患者さんが受診していますが、中には口の周りやあご、首などにも痙攣症状の有るメイジュ症候群の患者さんも見えています。そこでメイジュ症候群を復習してみましょう。
メイジュ症候群;
メイジュ(Meige)症候群は、眼瞼痙攣と口腔下顎ジストニアとして特定される限局性ジストニア運動障害の一つです1。以下に症状、診断、および対処法を説明します。
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症状:
- メイジュ症候群の患者は、眼瞼痙攣(まぶたのけいれん)や口腔下顎筋のジストニア(不随意な筋肉収縮)を示します。
- 眼瞼痙攣の一般的な症状には、感覚症状、運動症状、精神症状が含まれます。運動症状は、眼瞼の開きにくさや瞬目のしづらさ、瞬目過多などの眼瞼の動きに関連します。
- 感覚症状には、しょぼしょぼする、ごろごろするといった不快感や、太陽や蛍光灯の光に対する羞明、時には強い痛みを訴えることもあります。
- メイジュ症候群では、約3割の患者が不安、うつ病、睡眠障害などの精神症状を示します。
- 顔面下半部の不随意な運動や咀嚼運動も見られることがあります。
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診断:
- 眼瞼痙攣に対しては、「随意瞬目テスト」と「眼瞼痙攣評価質問表」を用いて診断します。
- 随意瞬目テストでは、軽瞬、速瞬、強瞬の3つの瞬目を行い、運動症状の重症度を評価します。
- 眼瞼痙攣評価質問表は、眼瞼痙攣患者が訴える主訴や愁訴から頻度が高く、特異性の高い重要な項目を抽出したものです。
- 精神症状に対しては、米国国立精神保健研究所が開発した「疫学的うつ尺度(CES-D)」などを用いて評価します。
- その他、脳病変を除外するために脳MRI、MRA、CTなどが必要性を勘案して勧められます。
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対処法:
- 特異療法として、眼輪筋にボツリヌス菌毒素を注射する方法があります。
- 病因により、原発性メージュ症候群と二次性メージュ症候群に分けられます。原発性メージュ症候群では遺伝的要素や精神的なストレスが重要な病因とされています。
- 二次性メージュ症候群は、神経弛緩薬を長期服用している患者の中で、顔面および頸部ジストニアを引き起こしたものです。:
- ボツリヌス菌毒素注射: 眼輪筋にボツリヌス菌毒素を注射することで、眼瞼痙攣の症状を軽減できる場合があります。ただし、効果は一時的であり、定期的な注射が必要です。
- 原因治療: 原発性メージュ症候群の場合、遺伝的要因や精神的なストレスを軽減することが重要です。ストレス管理、リラクゼーション法、心理療法などが有効です。
- 二次性メージュ症候群の治療: 二次性メージュ症候群は、神経弛緩薬の長期的な使用によって引き起こされることがあります。この場合、薬物の見直しや代替療法を検討する必要があります。
- 患者さんの症状や状態に合わせて、適切な治療法を選択することが重要です。また、精神的な側面にも目を向け、患者さんのQOL(生活の質)を向上させるサポートを行うことが大切です。
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