眼瞼痙攣

[No.2672] 眼瞼けいれん・眼球使⽤困難症の障害年⾦:安部敬太先生のお話

眼瞼けいれん・眼球使⽤困難症の障害年⾦社会保険労務士 安部敬太www.shogai-nenkin.com 

清澤のコメント:安部さんのスライドを拝借してここに採録します。シンボルやカラー等完全ではありませんが、話の要点はご理解いただけると思います。眼瞼痙攣が年金の扱い上で特異で不利なものになっている点と、会社に属していた時に発症していない人は最初から守られていないという仕組みを説明しています。

    ーーーーここからがスライドの内容です。ーーーーー

眼瞼けいれんや眼球使用困難症が対象とされているのは傷病手当金と障害年金です。「眼瞼けいれん」との記載が基準にあるのは障害年金だけです。どちらも会社で働いている人だけが対象です。

傷病手当金は、「傷病手当金は休み初めてから1年6か月の日数分もらえる」ものです。l休みの4日目から支給され、退職日がそれ以降なら退職後も支給されます。

その概要を見ると

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  • 1. 障害年金とは:障害年金・・・老齢年金、遺族年金と並ぶ公的年金の一つです。障害により稼得能力の喪失・減退を補てんする所得保障(国の説明)です。障害を理由とする現金給付(所得保障)の中心です。

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2階部分に相当する障害年金は、障害のお程度で重い方から、1級(月約2万)、2級(1階分を含めて月約9から12万)、3級(月約5.1から7万)および障害手当金(3級の2年分が一度だけ)に分けられます。(1部に配偶者加給年金あり)

1階部分の国民年金は、1級の障害基礎年金(102万円)、2級の(81.6万)です。(一部に子の加算あり)

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◎初診日に厚生年金に加入しているかどうか=会社で働いているかによって、

初診日に厚生年金に加入していない1階部分の障害基礎年金だけが支給される、

初診日に厚生年金加入中2階の障害厚生年金が支給2級以上は1階部分とセットで支給される。3級と障害手当金の設定もある

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◎障害年金の一般的程度は4段階です。

等級と一般的程度として、1級は日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる。2級は日常生活が著しい制限を受ける(労働により収入が得られない)。3級は労働が著しい制限を受ける。()3級:傷病が治らないで、労働が制限を受ける障害手当金は労働が制限を受ける。;とされています。

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2. 眼瞼けいれんや眼球使用困難症の障害年金の障害年金認定基準は、:「眼瞼痙攣等で常時両眼のまぶたに著しい運動障害を残すことで作業等が続けられない程度」障害手当金(「労働が制限を受ける」程度)ですが、(本来)3級の(労働に著しい制限)や2級以上に該当するという記載がなく、障害の程度が障害手当金(労働(単に)制限がある)という3級(労働に著しい制限)よりも下に現状では限定されています。これは、それ以上に重い状態になることはありえないという基準で差別的扱いです

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(1)障害手当金はもらえる:厚生年金加入中に初診日がある場合は、普通に請求すれば(専門医に診断書を書いてもらえれば)、障害手当金1度きりだが最低保障120万円200万円超えも)はもらえます。

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  • 傷病手当金と障害年金・障害手当金

障害年金・障害手当金は初診日から1年半の時点または請求時で権利発生

◆ 発症(初診)してからずっと仕事ができない:発症(初診)から1年半傷病手当金をもらい、1年半後から障害年金をもらう(障害手当金の権利が発生する)のであれば調整はない。

傷病手当金との調整の大きな違い

障害年金傷病手当金と障害年金のもらえる日が重なっても、もらった年金から日数分の年金を健保に返すだけなのでマイナスはない

障害手当金障害手当金の権利が発生した後の傷病手当金は障害手当金の額まで、傷病手当金を全額返金

→傷病手当金が終わってから障害手当金の権利が発生するよう請求する。

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(2) :初診日はいつか:在職中の受診日では確定診断されずドライアイや眼精疲労と診断。

確定診断は退職後

この場合の初診日は? 

現在の扱い

•ドライアイは初診日と認定される可能性が高い 眼精疲労では認めない可能性もある。でもトライアイにしてください

(3): 準3級は認められて当然:これまではほとんど3級をもらっていた

障害手当金(労働(単に)制限がある)程度で、かつ、傷病が治っていない(症状が固定していない)場合には3級を支給する、という規定がある。

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症状固定とは(法令上は「傷病が治った」とは)

2つの要件を両方満たすこと

① 症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められること

② 医療の効果が期待できない。 

国の決定では症状固定したとして障害手当金を支給する。

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不服申立てを受けた裁決:
2016年〜2019年の3年間に5件の裁決で3級を認める
ボトックス治療の効果は限定的であっても、医療効果が認められるから症状固定ではない。

⇒ 不服申立てをする⇨国は4か月後に「間違えました」と3級認定
⇒不服申立てをしない⇨障害手当金(時効により不支給)のまま

非常に不公正な状況(知っている人だけが3級)

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しかし、2023年から3級ももらえなくなっている
V 3級を受給していた8割の人が支給停止: 12件支給停止 3件継続
V 新規請求の人も不服申立てをしても3級にしない
国は争う気満々
現在、一斉に20人以上の人が不服申立て中

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V ボトックス治療をしている場合:
医療効果があるという裁決
⇨不服申立てが認められる可能性は十分ある
V ボトックス注射をしていない場合:
そもそも神経難病といえるこの病気で、手の切断や目が完全失明した症状の固定性が認められる判断することは妥当なのか
難病や内科的疾患、精神障害には症状固定という扱いはされない
ボトックス注射の適応でないケースも含め
症状固定と判断されること自体がおかしい

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 (4) 本来3級、2級以上にならない  この病気の重症度はマチマチ
全く部屋から出られない人からなんとか仕事ができている人もいる
ü全く部屋から出られない
ü就労不能
ü外出に付き添いが必須
ü身の回りのことも援助
ü作業等が続けられないどころか作業自体がまったくできない
ーーーー2級や1級、症状未固定が要件でない3級が認められない

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等級と、一般的程度
1級:日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる
2級:日常生活が著しい制限を受ける
3級:労働が著しい制限を受ける
(準)3級:傷病が治らないで、労働が制限を受ける
障害手当金:労働が制限を受ける

神経系統の障害や難病、内科的疾患、精神障害の認定基準には、1級から3級のすべてがある

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障害年金の認定基準において
この病気はこの程度(等級)と決められている病気はこの病気以外にない
2級以上の認定がない
厚生年金加入中に初診日がないと❌
初診日に会社で働いていなかった人は排除

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おわり
年金3級を確かなものにして、2級以上を認めさせる
さらに
手帳でもこの病気が対象となるように求めていきましょう

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