眼瞼痙攣

[No.2995] 眼瞼痙攣の光過敏と目の痛みへの対処:若倉雅登

眼瞼痙攣の光過敏と目の痛みへの対処:若倉雅登

清澤のコメント:これは、先週北トピアで開催された眼瞼けいれん・片側顔面けいれん患者友の会で、若倉先生が患者さん向けに行った講演の要旨です。使用したスライドの供与を受け、清澤が書き起こしたものです。眼瞼痙攣および眼球使用困難に対する若倉先生の情熱が伝わってくる内容であり、最新の情報を多数含んでいるものです。

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眼球使用困難症(広義)は中枢性羞明を中核とし、眼瞼痙攣と局所ジストニアの間に位置する概念です。
眼瞼痙攣は、運動症状、感覚(過敏)症状、精神症状を示しますが、運動症状が目立たない場合もあります。
光過敏には、即時型と遅延型(隠れ光過敏)の2つのタイプがあります。

光環境の調整:
人類は抗原を見ることに適応しておらず、スクリーンタイムの延長や白色LED、日光が影響を与えます。

光入力制限治療:
HDグラス(東海光学)を使用し、これを常用するのではなく、治療として1回30分、一日3回装用することが推奨されています。屋外では安全のために使用せず、暗い部屋で行います。装用中に作業をしないことが求められます。今回の講演で、若倉先生が強調された新しいポイントです。

遅発性ジスキネジアと遅発性ジストニア:
薬剤性でゆっくり発症する運動異常症であり、少なくとも2〜3ヶ月以上の服薬に伴います。ドパミン過感受性が関連し、ジスパル(バルベナジントシル酸塩)が田辺三菱製薬から発売されています。処方前に心電図でQT延長症候群を除外する必要があります。若倉先生は、ジスパルが効果を示した4例を紹介しました。現時点での見解としては、遅発性ジスキネジアに対する内服薬として開発され、薬剤性眼瞼痙攣もこの範疇に入る可能性があります。瞬目以上の運動症状に加え、感覚系症状にも改善が見られ、50%の患者で自覚効果があり、現在も継続中です。

疼痛の分類:
疼痛は3種類に大別されます。

  1. 侵害受容性疼痛:傷や炎症に対して、侵害受容器が察知する痛み。
  2. 神経原性疼痛:感覚神経が直接興奮して生じる痛み。
  3. 痛覚変調性疼痛:痛みの部位に病変はないが、何らかの原因で痛覚の閾値が低下し、慢性的な痛みを引き起こす(従来は「心因性疼痛」などとして扱われてきました)。

3大脳機能に基づく重症度と重要度:

  1. 運動系(視診、画像、電気生理検査が有効)
  2. 感覚系(軽視されがち)
  3. 精神神経系。

快適な生活のために必要なバランス制御機関:
眼瞼痙攣は運動や光過敏、痛覚変調性疼痛が関与し、視床や前頭前野、自律神経などが関係します。

病的な第3の疼痛(痛覚変調性疼痛)は中枢感作によって生じる:
反復する痛覚刺激により、脊髄後角などでの興奮性亢進が痛覚変調性疼痛を引き起こします。

この後、社会保険労務士の安部敬太さんが、眼瞼けいれん・眼球使用困難症に関する障害年金のお話を行いました。(こちらは別記事とさせていただきます。新聞にも多く取り上げられています。)

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