白内障

[No.2513] 水晶体脱臼とその治療

水晶体脱臼で手術を受けたことをx(旧ツイッター)に公表した人がいて、それがネット記事になっていました。成人の水晶体脱臼は、水晶体(眼の中のレンズの部分)が本来の位置からずれている状態です。この状態ではピントがうまく合わないだけでなく、レンズが眼の中の水(房水)の循環を邪魔して緑内障や網膜剥離につながることがあります1。(図はマルファン症候群の例です、下方に伸展したチン氏帯が見えています。上図の出典

主な原因は以下のようなものです:

  • 外傷: 眼球打撲のような鈍的な外傷によって、Zinn小帯(水晶体小体)という水晶体を支えている多数の細い糸が切れ、水晶体の位置異常が起こります2. 外傷の自覚がないのに、視力低下で眼科を受診して、この状態であることが偶然に見付けられるケースもあります。外傷からしばらくの時間を経て発症することもあります。
  • 代謝疾患: マルファン症候群、マルケサニ症候群、ホモシスチン尿症などの先天的な代謝疾患では両眼性の水晶体脱臼が見られることがあります13.
  • 先天異常:明らかな基礎疾患がないのに 生まれつきレンズが中心からずれている人もいます。視力が育っていく最中の子供では、早めに見つけて眼鏡を作ったり手術をしたりしないと、将来的に弱視になる恐れがあります1.

治療法は症状の程度により異なります:

  • 経過観察: 軽度の場合は視力が正常または症状が軽い場合に行われます。
  • 手術: 症状が強い場合は、外れた水晶体とその周囲にある硝子体を取り除く大掛かりな手術(硝子体手術)が必要となります。水晶体を取り除いた後に眼内レンズを入れて逢着し、視力を回復させます1.

硝子体手術による水晶体摘出は、水晶体の位置異常を改善するために行われる手術の一つです4. 硝子体手術は、硝子体を切除し、水晶体嚢が失われているので水晶体嚢の中に人口水晶体を置いてくるという通常の方法が取れません。そこで、人工の眼内レンズを眼球壁の毛様体溝という部分にに逢着固定して視力を回復させる方法です5. ただし、具体的な治療法は患者さんの状態により異なるため、詳細は担当の眼科医にご相談ください。

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