眼瞼疾患

[No.2876] 成人における眼瞼縁の肉芽腫は、

成人における眼瞼縁の肉芽腫(例えば霰粒腫や麦粒腫のあと)は、一般的にマイボーム腺の閉塞によって引き起こされます。マイボーム腺は眼瞼縁に沿った脂腺で、この閉塞が炎症を引き起こし、腺内に溜まった分泌物が炎症反応を引き起こします。

原因:

  • マイボーム腺閉塞: 最も一般的な原因は「マイボーム腺機能不全(MGD)」です。腺から分泌される油が粘稠化し、閉塞を引き起こします。これが慢性の炎症を引き起こし、肉芽腫の形成につながります。
  • 感染: 場合によっては、閉塞が二次的に感染し、Staphylococcus(黄色ブドウ球菌)などによる急性炎症反応を引き起こすことがあります。これは外麦粒腫や内麦粒腫の形で現れます。
  • 慢性炎症: ほかに、酒さや睫毛炎などの慢性炎症性疾患が、繰り返し眼瞼の肉芽腫を引き起こす素因となることがあります。

治療法:

  1. 保存的治療:
    • 温罨法: 温かい湿布を1日に数回、1015分間行うことで、閉塞した腺内の油を柔らかくし、排出を促進します。
    • マッサージ: まぶたを優しくマッサージすることで、腺内の詰まりを解消し、内容物を排出しやすくします。
    • 抗生物質軟膏: 感染が疑われる場合は、エリスロマイシンやバシトラシンなどの抗生物質軟膏を使用して、細菌感染を防ぎます。
    • ステロイド点眼や注射: 保存療法に反応しない炎症性の霰粒腫には、ステロイド点眼薬やステロイドの局所注射で炎症を抑えることが効果的です。
  2. 手術的治療:
    • 切開排膿: 持続性のある大きな肉芽腫には、手術的な排膿が必要な場合があります。これは眼瞼の内側に小さな切開を加え、病変部の内容物を掻爬する治療です。
    • 切除: その他の治療に反応せず、悪性の可能性がある場合や疑わしい所見を伴う場合は、完全切除が行われることもあります。
  3. その他の治療法:
    • マイボーム腺の圧出: 診療所でマイボーム腺の手動圧出を行うことで、閉塞を取り除くことができます。
    • 経口抗生物質: 霰粒腫が繰り返し発生する場合には、ドキシサイクリンのような抗炎症作用を持つ経口抗生物質を用いて、マイボーム腺機能不全を治療することがあります。

成人では、眼瞼縁の肉芽腫が悪性疾患(例えば、脂腺がんや基底細胞がん)と区別される必要があることが重要です。治療に反応しない場合や異常な特徴を示す場合には、病変部の生検や病理検査が推奨されることがあります。

これらの治療法は、国際的な眼科の文献や臨床ガイドラインでも広く推奨されています。(清澤のコメント:思った以上に眼瞼縁の肉下腫の写真はネット上でも見つかりませんでした。殊に悪性腫瘍との区別をつけるためにも切除が勧められているようです。)

メルマガ登録
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。