片頭痛

[No.3157] レーシック後の片頭痛と羞明:

レーシック後に片頭痛が増悪して「薬物治療と並行して紫外線(UV)・可視光短波長光(ブルーライト)をカットするレンズで眼鏡を作製したところ眩しさの自覚の軽減を認め、片頭痛の頻度、症状の軽快が認められた。」という症例発表が日本頭痛学会で発表されたことを教えてくれた方がおられました。頭痛クリニックのページ参照

https://ocha-zutsu.com/blog/%e9%a0%ad%e7%97%9b%e5%ad%a6%e4%bc%9a%e7%b7%8f%e4%bc%9a%e3%81%a7%e7%99%ba%e8%a1%a8%e3%81%97%e3%81%be%e3%81%97%e3%81%9f%e3%80%80%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%83%e3%82%af%e5%be%8c%e3%81%ae%e5%85%89)抄録には明示されていませんが下のページを見ると私も羞明治療に使用している480-520ミクロンの波長をカットするFL-41レンズ(acunis®)を使用したようです。本日は公表されている学会抄録を此処に採録いたします。

角膜屈折手術により片頭痛が増悪した症例

Cases of migraine exacerbation caused by LASIK: corneal refractive surgery

お茶の水頭痛めまいクリニック脳神経外科 片桐彰久、同眼料 片桐真樹子

【背景】片頭痛の国際分類第3版(ICHD-3)の診断基準では、頭痛発作中に光過敏が認められ、予兆期の症状としても光に対する過敏性が含まれる。このことから光が頭痛の誘発因子であることが示唆されている。今回我々は、LASIK(レーシック:角屈折矯正術)後に片頭痛が増悪した症例を複数例経験したので報告する。【症例】報告する症例はすべて片頭痛症状を屈折場正手術の術前から認めていた。術直後から眩しさが増悪していることを自覚した。また、それに伴い片頭痛の頻度・症状の増悪も認めていた。片頭痛患者が眼料術後に症状増悪を認めた報告は散見されているが、はっきりした病態は解明されていない。当院は眼科を併設しているため、眼科学的検査・診察も行った。薬物治療と並行して紫外線(UV)・可視光短波長光(ブルーライト)をカットするレンズで眼鏡を作製したところ眩しさの自覚の軽減を認め、片頭痛の頻度、症状の軽快が認められた。【結語】片頭痛の光過敏に内因性光感受性細神経性網膜神経性細胞(ipRGC)の関与が指摘されている。また、片頭痛患者は健常者よりも光過敏の関値が低いことも報告されている。一方、LASIKでは角膜を削り形を変えることで屈折力を変化するため、取り込む光のずれが起こりやすい。術後、患者は光を眩しく感じるようになると考えられる。光過敏の関値が低い片頭痛患者にとってレーシック屈折矯正術が片頭痛症状を増悪させた可能がある。症例蓄積による新たな知見が望まれる。

清澤注記:LASIK手術後に片頭痛や羞明(光過敏)が増強した症例に関する英語の報告は、現在のところ直接的な症例報告が見当たりません。しかし、LASIK後の一般的な副作用として、光過敏や視覚的な不快感が一時的に増加することが知られています。また、片頭痛患者は光過敏を経験することが多いため、LASIK手術後にこれらの症状が悪化する可能性は考えられます。具体的な症例報告はありませんが、この発表が言う通りLASIK手術を検討している片頭痛患者には、事前に眼科医や神経内科医と十分に相談し、リスクとベネフィットを慎重に評価することが重要と指摘できます。

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