二次性頭痛とは:
今回の神経眼科誌の特集は最新の頭痛診療です。小児思春期(中澤友幸)、片頭痛(葛西英世)、片頭痛以外の一次性頭痛と二次性頭痛(石原正樹、中島秀人)、片頭痛(津田浩昌)と内容は重厚です。このうちから、比較的わかりやすい二次性頭痛の部分の要点を書き抜いてみました。
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二次性頭痛
- 概要:二次性頭痛は器質的な原因を持つ重要な疾患であり、看過できません。主な原因には頭部外傷後の頭痛、虚血性脳卒中、非外傷性頭蓋内出血(くも膜下出血含む)、脳動脈解離、脳静脈洞血栓症、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)、動脈炎、脳腫瘍、感染症、高山病、睡眠時無呼吸性頭痛、高血圧性頭痛、眼疾患、耳疾患、副鼻腔疾患、歯や顎の障害、精神疾患などがあります。
これらの疾患を見逃さないことが重要で、特に危険な頭痛が疑われる場合には速やかな専門医への紹介が推奨されます。画像診断ではCTやMRIを活用し、必要に応じて矢状断や冠状断を含めた評価が推奨されます。
- 帯状疱疹による有痛性三叉神経ニューロパチー
70代男性が左側頭部の締め付け感と左前額部痛を訴え、後日左三叉神経第1枝領域に帯状疱疹が発症しました。治療には抗ウイルス薬(バラシクロビルなど)や疼痛管理薬(カルバマゼピンなど)が用いられます。
診療ポイント: 三叉神経障害は10-15%の帯状疱疹で生じ、主に第1枝に多い。皮疹が後から出現することもある。無疱疹性帯状疱疹にも注意。
- 特発性三叉神経痛
40代女性が右三叉神経(第2・第3枝)領域の激痛を訴え受診。MRIで神経血管圧迫は認められず、カルバマゼピンが第一選択薬です。
診療ポイント: 突き刺すような鋭い痛みが数秒から数分続く。洗顔や風が当たる刺激で痛みが誘発。薬物治療が無効な場合、小血管減圧術を考慮。
- ウイルス性髄膜炎
10代男性が発熱と頭痛を訴え、項部硬直を伴う無菌性髄膜炎と診断。治療は対症療法が基本ですが、ヘルペスウイルス感染が疑われる場合にはアシクロビルが使用されます。
診療ポイント: 発熱や頭痛が続く場合は腰椎穿刺を考慮。単純ヘルペスウイルス感染の迅速な除外が重要。
- くも膜下出血
突然の激しい頭痛(雷鳴頭痛)が特徴。初発の頭痛は外傷の有無に関わらず慎重な評価が必要です。頭部CTが診断に有用で、感度は発症12時間以内で98%。
診療ポイント: CTが正常でも疑わしい場合は腰椎穿刺を実施。Ottawa SAH ruleで鑑別可能。診断後は降圧と神経外科への速やかなコンサルテーション。
- 可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)
30代女性が雷鳴頭痛を訴え、頭部MRIとMRAで診断。治療にはカルシウム拮抗薬が使用されます。
診療ポイント: 雷鳴頭痛が特徴で、労作や感情の動揺で誘発される。縮血管の移動を画像で確認する。
- 脳脊髄液漏出症
30代女性が起立性頭痛と吐き気を訴え、脳脊髄液漏出症と診断されました。硬膜外自家血注入療法が有効です。
診療ポイント: 起立性頭痛が初期症状。MRIで硬膜肥厚や脳脊髄液漏出を確認。補液や臥床安静を指導。
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