センニチコウと視覚的リハビリ・園芸療法の関係
1. センニチコウとは
センニチコウ(千日紅、英名:Globe Amaranth、学名:Gomphrena globosa)は、丸いポンポン状の可愛らしい花を長期間楽しめる一年草です。紫、赤、ピンク、白などの鮮やかな色があり、夏から晩秋まで咲き続けます。切り花やドライフラワーにしても色あせにくく、その名の通り「千日」も色が残ることからこの名が付きました。
2. 視覚的リハビリとのつながり
高齢になると、網膜や水晶体の加齢変化で色の見え方が変化します。特に青や紫などの短波長光の感度が低下するため、これらの色がくすんで見えるようになることがあります。
センニチコウの紫色や赤紫色は、高彩度で視認性が高い色であり、屋外や明るい環境で見るとコントラストが強く、色感覚を刺激します。
視覚リハビリの場面では、こうした鮮やかな色の花を認識・注視する訓練が、色覚刺激や視覚探索能力の維持に役立ちます。
3. 園芸療法での効果
園芸療法(Horticultural Therapy)は、植物の栽培や鑑賞を通じて心身の健康を促すアプローチです。センニチコウを園芸療法に取り入れるメリットは以下の通りです。
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色彩刺激:鮮やかな色が視覚野を活性化し、注意力や情緒に良い影響を与える。
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形状認識訓練:丸い花形は判別しやすく、形の認識や距離感の確認練習に使える。
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作業療法的要素:種まきから開花まで育てやすく、達成感を得やすい。
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持続的観察:長期間咲くため、継続的に観察・記録するリハビリ課題に適する。
4. 視覚と心の両面への効果
視覚的リハビリは目の機能だけでなく、「見る楽しみ」を回復することも重要です。
センニチコウのような花を育てたり眺めたりする時間は、患者さんにとって日常の中の喜びとなり、うつ傾向や不安感の軽減にもつながります。
5. 実践例
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屋外での鑑賞:戸外活動として庭や花壇で観察し、視線移動や焦点合わせの練習に。
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花色の違いを比べる:赤系・紫系の花を並べ、色の差を見分ける訓練。
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記録活動:花の数や咲き具合を毎日記録し、視覚的注意と短期記憶の訓練に。
まとめ
センニチコウは、色彩が鮮やかで形も分かりやすく、長期間咲き続けるため、視覚的リハビリと園芸療法の両面で有用な植物です。患者さんが「見る楽しみ」を感じながら、自然な形で視覚機能の刺激と心の癒やしを得られる、まさに花のセラピストと言える存在です。
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