まぶしさを感じる「羞明」とは
羞明(しゅうめい)とは、周囲の光をまぶしく感じ、目を開けていられなくなるような状態をいいます。
普通の明るさでもつらく感じる場合もあり、外出やテレビ・スマートフォンを見るのが苦痛になることもあります。羞明の原因は多岐にわたりますが、特に「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」「網膜疾患」「角膜疾患」が代表的です。
① 眼瞼痙攣による羞明
眼瞼痙攣は、まぶたを動かす筋肉が自分の意思とは関係なく収縮して、目が自然に閉じてしまう病気です。最初は「まぶしい」「乾く」「目が疲れる」といった軽い症状から始まり、進行すると目を開けていられないほど強いまぶしさや不快感を伴います。
羞明の原因は、単に光に過敏になるだけでなく、角膜の乾燥や瞬目(まばたき)の異常、脳内の感覚処理の過敏さなど複合的です。
対応策:
- 点眼や人工涙液による乾燥の改善
- サングラスや遮光眼鏡の使用(まぶしさの波長をカット)
- ボトックス注射(眼輪筋の過剰な収縮を和らげる)
- 症状が強い場合は、専門的な神経眼科での診断が有用です。
羞明が強い時期には「外出を控える」「白い壁や天井など明るい背景を避ける」といった生活の工夫も有効です。
② 網膜疾患による羞明
網膜は光を感じ取る「カメラのフィルム」に相当する部分です。ここに異常があると、光に対して敏感になりすぎたり、逆に光を感じにくくなったりします。羞明を伴う代表的な網膜疾患には次のようなものがあります。
- 網膜色素変性症:光を感じる細胞が徐々に減っていく病気で、明暗の切り替えが苦手になります。暗いところで見えにくい一方、急に明るい場所に出るとまぶしく感じます。
- 中心性漿液性脈絡網膜症や加齢黄斑変性などの黄斑疾患:視力の中心部分が敏感になり、強い光が刺すように感じることがあります。
対応策:
- 遮光眼鏡や色付きレンズ(オレンジ・ブラウン・グレー系)を症状に合わせて選ぶ
- 暗順応(暗い所に慣れる力)の低下がある場合は、急な明暗差を避ける環境づくり
- 定期的な眼底検査やOCT(光干渉断層計)検査での経過観察
網膜疾患の場合、羞明は視細胞の損傷が背景にあるため、根本的な治療は難しいこともありますが、遮光環境の調整で生活の質を大きく改善できます。
③ 角膜疾患による羞明
角膜(くも膜とも呼ばれることがあります)は、黒目の表面にある透明な膜で、光を目の奥に通す役割を持ちます。ここに傷や炎症があると、光が乱反射してまぶしく感じます。
代表的な原因は次の通りです:
- ドライアイによる表面の微細な傷
- 角膜炎(感染やアレルギーによる)
- 外傷やコンタクトレンズ装用による角膜障害
対応策:
- 涙液補充点眼やヒアルロン酸点眼での保湿
- 感染や炎症があれば抗菌薬・ステロイド点眼
- 重度の場合は角膜保護用のコンタクトレンズ(バンデージレンズ)を使用
角膜由来の羞明は比較的治療効果が期待でき、原因を特定して治療すれば多くは改善します。
④ 日常生活でできる工夫
羞明の原因が何であっても、次のような工夫は共通して有効です。
- 遮光眼鏡の活用:外出時はUVカット付きサングラスを使用。屋内では淡いブラウンやグレー系の遮光レンズが自然です。
- 照明の工夫:LED照明を直接見ない、間接照明を使う、パソコンの画面の明るさを調整する。
- ドライアイ対策:エアコンの風を避け、まばたきを意識的に増やす。
まとめ
羞明は単なる「まぶしい」症状ではなく、眼瞼・角膜・網膜・神経など、目のさまざまな部位の異常が背景にあります。
「明るい場所がつらい」「外に出るのが苦痛」と感じたら、自己判断せず眼科を受診し、原因に応じた治療や遮光環境の工夫を行うことが大切です。



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