◎ 小児虐待が疑われる症例において、中村1型という虐待が原因ではない急性硬膜下血種の例が存在します。その場合にも網膜や眼球内の出血が見られることは少なくな いのです。脳外科や小児科医からの照会をうけた眼科医がうっかり「小児虐待症候群である可能性がある」という診断を下しますと、それを根拠として児童相談所が「幼児を 親から引き離す」という処置をとることがあります。私は多数例の写真を見せられて、「眼底所見だけでは乳児虐待とは断定できない」と思っています。最近、藤原一枝先生に児童相談所に子供を取り上げられた親が相談した症例では、小児科も脳外科も子供を親に戻 すことに反対していないにも関わらず、「眼科医が」その処置に反対していると児童相談所側が誤解して、子供を親元に戻す処置がとられていないという事例がありまし た。 眼科医諸兄に於かせられましては、眼底所見だけで、「この症例が乳児虐待かもしれない」という積極的かつ断定的な診断書を「悪意なく」発行することには十分にご注意 ください。少なくも、親を子供から引き離すことにつながる診断書の発行は、「親の態度などで、この事例は怪しい」という症例に限定願いたいです。
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