私は現在既に白内障手術からは撤退していますが、他院での白内障手術の術後に自覚される飛蚊症を訴えて受診する患者がしばしばいます。今回は術後患者の満足度を妨げる飛蚊症について説明します。影響、診断方法、治療を待つ理由、治療方法について述べます。Dr. Liz Hillmanの関連資料「飛蚊症が患者の幸せを邪魔していますか?- アイワールド」も参考にしています。
術後の満足度への影響
飛蚊症(floaters)は、視界を漂う小さな影のような形状で、白内障手術などの眼手術後に特に自覚的に目立つことがあります。手術後に視界がクリアになることで、これまで気にならなかった飛蚊症が気になるようになり、患者の満足度を大きく損なう場合もあります。
影響の例:
- 一部の患者は飛蚊症が非常に煩わしく、治療のためにリスクを伴う手術も受けたいと考えることがあります。
診断方法
飛蚊症の患者は、視界に浮かぶ影や目の動きと共に移動する影が見えると訴えることが多いです。診断には以下が重要です:
- 患者の詳細な病歴: 症状の頻度や状況を確認します。
- スリットランプ検査: 硝子体の状態を評価するための基本的な検査法です。
治療を待つ理由
多くの眼科医は、手術後少なくとも6か月は飛蚊症の治療を待つことを推奨しています。その理由は以下の通りです:
- 自然経過の観察: 飛蚊症は時間が経つにつれ、視軸から外れたり、脳が適応して気にならなくなることが多いためです。片眼の飛蚊にはやがて抑制が掛かることも知られています。
- 不必要なリスクの回避:治療に伴う網膜剥離などのリスクを最小限に抑えるためにも、自然経過を見ることが優先されます。
治療方法
- 経過観察:
- 多くの場合、飛蚊症は時間とともに気にならなくなるため、治療を要しないことがあります。
- YAGレーザー硝子体融解術:
- レーザーを使用して飛蚊症を分解する治療法。効果には個人差があります。
- 硝子体手術(Pars Plana Vitrectomy, PPV):
- 硝子体ジェルを取り除く手術。患者満足度が高い一方で、網膜剥離などのリスクを伴います。
参考情報
Dr. Liz Hillmanによる「Floaters getting in the way of postop patient happiness?」(術後患者の満足度を妨げる飛蚊症?)という記事が、本日届いた最新号のEyeWorld誌に掲載されています。この内容はほぼ現在のコンセプトと考えてよさそうですが、清澤は上記2ないし3を積極的に行う眼科医を把握していません。(出典:EyeWorld.org)
結論
飛蚊症は術後患者の満足度に影響を与える可能性がありますが、適切な診断、患者教育、および治療戦略を通じてこの問題に効果的に対処することが可能です。
コメント