痙攣性発声障害は、声を出すときに無意識に声帯を動かす筋肉(図を参照)が痙攣してしまい、声の詰まりや途切れ・震えをきたす原因不明の疾患です。この疾患は、頭頸部ジストニアの部分症状として眼瞼痙攣の治療中の患者さんに現れることがあります。その際に私は患者さんを発声専門の耳鼻科医に紹介させていただきます。詳しくはそのような発声の治療を得意とする耳鼻科医にご相談ください。
ーーー痙攣性発声障害ーーーー
痙攣性発声障害には、声帯の動き方によって3つのタイプがあります:
- 内転型:声帯が内側に閉じようとするため、絞り出すような声になる
- 外転型:声帯が開いてしまうため、息が漏れ、かすれるような声になる
- 複合型:内転、外転が複合したもの
この疾患の治療法として、ボトックス(ボツリヌス毒素)注射が耳鼻科のボイスセンターなどでは行われています。ボトックスは筋肉の働きを止める薬剤で、少量を声帯の筋肉に注入することで過度な筋肉の活動を抑えます。
具体的な投与方法は以下の通りです(ここから先は眼科ではなく専門の耳鼻科医にご相談下さい):
- 内転型:初回投与では片側の甲状披裂筋に2.5単位を注射します。再投与では片側または両側の甲状披裂筋に片側あたり最大2.5単位(両側投与の場合は合計で最大5.0単位)を注射します。投与量は症状に応じて適宜増減し、投与間隔は12週以上あけます。
- 外転型:初回投与では片側の後輪状披裂筋に5.0単位を注射します。再投与では片側の後輪状披裂筋に最大5.0単位を注射します。投与量は症状に応じて適宜増減し、投与間隔は12週以上あけます。
ボトックス注射の効果は通常、投与後2〜3日で現れ、1〜2週で安定します。効果持続期間は通常3〜4ヵ月であり、効果減弱後は再投与を行います。中和抗体産生のリスクを低減するため、再投与時の投与間隔は12週以上(清澤注:眼周囲は間隔を8週以上とされています)としてください。
ただし、この治療法は一時的なものであり、効果が一時的であるため、注入を繰り返すことがあります。また、副作用として嚥下や呼吸がしづらいなどがあることも報告されています。
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眼科を訪れる患者さんにこのような症状を併せ持つ人もいるという事です。詳しくは発声障害を専門に扱う耳鼻科医にご相談ください。
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