「STN1011402」は、参天製薬が製造販売承認を申請したアレルギー性結膜炎の治療薬です。眼科用のクリームで、この点が従来製品と違うところです。参天のページを見ますと、STN1011402(エピナスチン塩酸塩)眼科用クリームの製造販売承認を申請― 1日1回眼周囲に塗布する新たな剤形のアレルギー性結膜炎治療薬 ―
参天製薬株式会社は、STN1011402(一般名:エピナスチン塩酸塩)眼科用クリームについて、2023年3月27日付で国内における製造販売承認の申請を行いました。本製剤は、1日1回眼周囲(上下眼瞼)に塗布するアレルギー性結膜炎治療薬で、エピナスチン塩酸塩を0.5%(点眼のアレジオンは0.05%、LXは0.1%)含有しています。アレルギー性結膜炎の治療においては、ヒスタミンH1 受容体拮抗薬の点眼薬()が多く使われていますが、それらは1日2 回又は4 回の点眼が必要です。1日1回塗布の本製剤は、患者さんの日中点眼の負担を解消することができ、塗布する際には直接投与部位に触れるため、小児など、ご自身での点眼動作が難しく、介助が必要な患者さんにおいても扱いやすい剤形です。点眼薬を中心とするアレルギー性結膜炎治療に、眼科用クリームという新たな剤形の選択肢を提供できる可能性があります。
本製剤の有効成分であるエピナスチン塩酸塩は、1975 年にベーリンガーインゲルハイム社により創製され、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を主作用とし、さらに肥満細胞からの化学伝達物質の遊離抑制作用(chemical mediator release inhibitor action)を有しています。本製剤の有効性は、国内で実施した臨床試験でアレルギー性結膜炎の主症状である眼そう痒感および結膜充血を抑制することが確認されています。また、重篤な副作用は眼局所、全身ともに認められていません。
アレルギー性結膜炎は、目の表面に花粉などのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、結膜に炎症を起こす疾患です。2017 年の日本眼科アレルギー研究会(現、日本眼科アレルギー学会)が実施した有病率調査によると、国内のアレルギー性結膜疾患の有病率は 48.7%1であり、有病率は近年増加しています。
Santenのチーフ メディカル オフィサーであるピーター・サルスティグは、次のように述べています。「アレルギー性結膜炎にはいくつか種類がありますが、特に日本ではスギ花粉を代表とする花粉の大量飛散時期に季節性アレルギー性結膜炎を発症する患者さんが多く存在します。強い眼そう痒感や充血の結膜炎症状により、Quality of Life(生活の質:QOL)の低下などに悩まされています。眼周囲(上下眼瞼)に薬剤を塗布する剤形のアレルギー性結膜炎治療薬は世界初*であり、この開発を通じて、画期的な治療方法の可能性を追求できることを大変嬉しく思います。」
Santen は、眼科に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、眼の疾患や不具合に起因する世界中の人々の社会的・経済的な機会損失を削減するとともに、治療における利便性を改善するなど、患者さんの QOL向上に貢献してゆくとのことです。
*2023年3月時点。眼周囲(上下眼瞼)に塗布するタイプのアレルギー性結膜炎治療用クリーム剤として(IQVIA MIDAS 2011-2022により自社調査)
<参考文献>
1. 日本眼科アレルギー学会診療ガイドライン作成委員会:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第3 版)
日眼会誌. 125(8): 741-785, 2021.
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