清澤のコメント:昨日の日刊ゲンダイに私の流行性角結膜炎と咽頭結膜熱の話題のインタビューを取り上げていただきました。最近の話題は?と話を振られたのに対して、これらが急激に増えているという情報をお話したものです。(本稿末尾の記事参照) これからヤフーニュースなどにも転載されるはずです。
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① 流行性角結膜炎ってどんな病気? 全国の学校で感染症が大流行
解熱剤や咳止めといった風邪症状の病気に欠かせない薬が品切れだという。季節外れのインフルエンザに加え、新型コロナやその他の風邪症状を引き起こす感染症の患者が増えているためだ。街中で咳き込む人やマスクをする人が目立ち、休校や学級閉鎖に追い込まれている学校も少なくない。実際、厚労省発表の「インフルエンザ様疾患発生報告(学校欠席者数)」2023/24シーズン第6報(2023年10月9~15日)によると、全国のこの間の欠席者数は2万6147人。前週の3万1301人よりも減ったとはいえ、風邪症状のある感染症に苦しむ人は多いようだ。
そんななか、じわじわと患者数を増やしているのが、“はやり目”と呼ばれる「流行性角結膜炎」という目の病気だ。どんな病気なのか? 自由が丘清澤眼科(東京都目黒区)の清澤源弘院長に話を聞いた。
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「この病気は、アデノウイルスと呼ばれる風邪ウイルスによって引き起こされる感染症で、風邪と同じような症状が出ることが知られています。年中感染者がいますが、多いのは夏で、いまは季節外れの流行と言っていいでしょう。症状は目の赤み、かゆみや痛み、まぶしさ、目ヤニ、涙などが現れます。まれに黒目が濁って視力が落ちることがあります」
② 流行性角結膜炎は治るまでに2週間以上要するケースもあり、人によっては1カ月以上かかる場合もあるという。
なぜ、流行性角結膜炎がこの時期に流行しているのか? 理由は不明だが、同じアデノウイルスが原因で発症する「咽頭結膜熱」の流行と関係している可能性もある。
「咽頭結膜熱は別名『プール熱』と呼ばれる感染症です。39度以上の高熱が4~5日続き、へんとうの腫れや喉の痛み、頭痛、倦怠感、食欲不振に加え、目の充血や目ヤニが出る感染症です。症状が治まるまでに1週間程度かかります。通常は6月ごろから流行し、プールでの感染が多いことからこの名で呼ばれるようになっています。ところが今年はなぜか、季節外れの流行になっているのです」
この3年間、多くの人は新型コロナの流行で自宅にこもらざるを得なかった。そのせいで感染症にさらされず免疫機能が弱ったため今年は感染症が多い、などとの解説がある。ありそうな話だが、実際のところはわからない。ただ、ハッキリしているのは、これらの感染症の患者がゆっくりではあるが着実に増えていることだ。
③
■大人も職場に行けなくなる
感染症発生動向調査週報速報データ(IDWR)第40週(23年10月2~8日)によると、咽頭結膜熱の全国の観測地点の総報告件数は5854件。定点当たりの報告数は1.87件となっている。前週はそれぞれ5698件で1.81件、前々週は4126件で1.31件であり、じわじわと増えているのがわかる。
一方、流行性角結膜炎の定点当たりの報告数は0.89件と流行の目安となる1に迫る勢い。前週、前々週はそれぞれ、0.89件、0.68件とこちらも徐々に増えている。
「流行性角結膜炎や咽頭結膜熱を引き起こすアデノウイルスは感染者の便や飛沫にウイルスが含まれます。そのため、急激に感染者が増える可能性があり、注意が必要です」
流行性角結膜炎と咽頭結膜熱は学校保健安全法で学校感染症に指定されている。そのため感染すると、他の人に感染させないよう、一定期間登校できなくなる。
④ 「流行性角結膜炎は医師の許可が下りるまで、咽頭結膜熱は主要症状が消えて2日経過するまで出席停止となります。お子さんがいるご家庭はとくに注意が必要です」
問題は、感染した場合、大人も職場に行けなくなる可能性があるということだ。
「これらの感染症は人にうつす可能性があるため、とくに他人と接触する機会の多い、学校や医療施設、接客業で働く人は注意が必要です。医師、看護師、教師、調理師、美容師などは感染すると医師から一定期間の出勤停止を指示されることもあります。また、職場によっては内規で、これらの病気に感染した場合は、医師から診断書をもらって会社に提出した後に出勤停止となると会社の規則に記載されているケースもあります」
そうならないためには日頃から予防することが大切だ。
「感染症予防の基本は同じです。手洗いと咳エチケットの徹底です。手洗いは、手に付着した病原体を洗い落とす最も基本的な手段です。流水やせっけんを使って行いましょう。咳やくしゃみをするときは、肘やマスクで口を覆いましょう」
⑤ 新型コロナが5類扱いになって、さまざまな規制から解放された気持ちになっている人も多い。しかし、新型コロナがなかった年でも冬はさまざまな風邪症状を引き起こす感染症が猛威を振るい、免疫力の弱い人たちの命を奪ってきた。
ときならぬ感染症の流行をきっかけにもう一度、自分と自分の大切な人々のための感染症予防を思い出し、日々の暮らしのなかに組み入れてはどうだろう。
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