結膜炎・花粉症・ものもらい (結膜疾患)

[No.1006] 結膜下出血:入門編

結膜下出血

清澤のコメント:結膜下出血の本格的な説明ではなく、結膜下出血で初診で見えた患者さんに渡せるハンドアウトのつもりで印刷物を作りました。

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◎連載 みんなの眼科教室 教えて清澤先生から

目の出血を訴える患者さんは多い

【Q】朝は何もなかった60歳になる母の右の白目の内側が急に真っ赤に出血で染まりました。涙に血は混ざっておらず、痛みも視力低下も訴えてはいません。以前にも似た症状が起きてその時には結膜下出血と言われましたが、心配ないでしょうか?

【A】同様の症状を訴えて来院される患者さんがよくいらっしゃいます。結膜下出血とは、この例のように眼の白目に現れるくっきりした出血を表す眼科用語です。結膜下出血は急に目が真っ赤になったイメージを持たれますが、隣接する角膜や皮膚に広がらず、テノン膜(眼球の結膜と強膜の間にある薄膜のこと)と結膜の間の深さの空間に血が貯まります。特に打撲などの自覚もなく、発症時にチクッと痛かったと言う事もありますが、出血自体は一般的に無痛であり、視力低下や視界の歪みはきたしません。

結膜下出血は、一般的にはほぼ問題ない物ですが、稀に深刻な病気の症状である可能性もありますから、一度は眼科医を受診されることをお勧めします。

出血の原因として考えられるのは、激しいくしゃみや咳、例えば百日咳など。物を持ち上げたり押したりする運動、分娩、嘔吐などといった胸腔内圧をあげるりきみなどの運動による静脈圧の上昇も原因になりえます。

心機能低下でのうつ血症候群による漸進的な静脈圧の増加も関係し、法医学的レベルでの頸の絞扼などでも結膜下出血が起きます。

重度の高血圧 (動脈性高血圧)および血管疾患(動脈硬化ほか)、さらには血液凝固性の亢進(病勢が高い度合いまで進むこと)をきたす状態または出血傾向の増加も原因となり得ます。ことに脳梗塞予防のためにワルファリンというお薬を飲んでいる患者さんのなかに薬剤による凝固阻害での非常に強い結膜下出血も見られたことがありました。

目または頭部の外傷、屈折異常を矯正するための眼科手術(レーシックなど)、ウイルスによる急性感染性結膜炎(急性出血性結膜炎など)、レプトスピラ症などの出血症状を伴う感染症なども出血の原因となり得ます。

出血の吸収後に結膜に出血の原因となった瞼裂斑や異常な血管などが見つかることもあります。

治療方針を決めるためには同じ赤い目であっても最初に、結膜下出血と結膜炎や上強膜炎などに伴う充血と明確に区別する必要があります。結膜下出血は出血が刷毛ではいたように広がり、充血では各血管が拡張しますが血管から外に出血はしていません。重大な原因疾患が指摘できず付随するケガや異物がない結膜下出血の場合には、治療は特には必要ありません。入浴時に温湿布で温めると約1014日後に出血跡は減少し、再吸収されるでしょう。

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結膜下出血:再訪

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