緑内障

[No.2704] 緑内障点眼薬:ハイパジール

緑内障には非常に多くの異なる機序で働く薬剤があります。薬剤名も、一般名と商品名が有るので、医師サイドでもなかなかすべては覚えきれません。さて、最近、緑内障の治療中の患者さんが知人に勧められたという事でハイパジールが使えないか?という質問がありました。確認の意味でハイパージルの要点を復習し説明してみます。

ハイパジールコーワ点眼液0.25%は、β遮断薬点眼剤に分類される薬剤で、眼房水の産生を抑え、眼圧を下げます。β遮断薬(点眼薬)の代表的な商品名には、チモプトール、リズモン、ミケランそしてこのハイパジールがあります。ハイパジール点眼液の主な副作用には:結膜充血、角膜びらん、眼刺激症状など。起こる可能性のある重大な副作用には、喘息発作、心臓の脚ブロックなどがあります。ですから、ハイパジールは最も聞きなれたチモプトール®(一般名はチモロール)に準ずるものとして考えれば良さそうです。

  • 此処で、標準的な緑内障点眼治療薬選択の順番をのべます。

緑内障の治療薬選択においては、患者の状態や治療の目標に応じてさまざまな点眼薬が選ばれます。標準的な治療薬の選択順序は以下のようになりますが、個々の患者の眼圧の状態、副作用への対応、既往歴などにより変更があり得ます。

  1. プロスタグランジン類似体(例:ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト)
    • 眼圧を効果的に下げることができ、一日一回の投与で済むため、患者のコンプライアンス(治療への協力)が向上します。
  2. βブロッカー(例:チモロール、ベタキソロール、ハイパジル)
    • プロスタグランジン類似体で十分な眼圧低下が得られない場合や、プロスタグランジン類似体が禁忌の患者に選ばれることが多いです。
  3. 炭酸脱水酵素阻害剤(例:ドルゾラミド、ブリンゾラミド)
    • βブロッカーの副作用に配慮して選択されることがあります。また、他の薬剤との併用により眼圧下降効果を高めることができます。
  4. α2アドレナリン作動薬(例:ブリモニジン)
    • 他の薬剤による治療で十分な効果が得られない場合に追加されることがあります。
  5. 副交感神経刺激薬(例:ピロカルピン)
    • 眼圧の迅速な下降が必要な場合や特定のタイプの緑内障(例えば閉塞角緑内障)に選ばれることがあります。

これらの薬剤は、単独または組み合わせて使用されることがあります。治療の初期段階では通常、単一の薬剤から始め、必要に応じて追加や変更を行います。患者の反応や副作用を見ながら、最適な治療計画を継続的に調整することが重要です。

 

という訳で、現況では眼圧下降に不足が無いので、ファーストチョイスとされるキサラタンなどのプロスタグランジン系から心血管系の副作用が起きる可能性もあるβブロッカーに変えたほうが良いと考える理由はなさそうに思います。更に眼圧を下げたければプロスタグランジン系のキサラタンをβブロッカーとの合剤であるザラカムに変えるかもしれません。

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