緑内障

[No.750] 緑内障があって、前立腺がんの注射及び内服療法を受けた後に視力低下が著しい:

緑内障があって、前立腺がんの注射及び内服療法を受けた後に視力低下が著しいという患者さんが見えました。そこで前立腺がん治療薬に視力低下を伴うものがないかをあたってみました。それらしきものはありませんでしたが、その概要をおさらいしてみます。

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並木幹夫(なみき・みきお)先生記事から抜粋:金沢大学附属病院 泌尿器科教授

男性ホルモンを抑えてがんを縮小させる

がんの増殖に影響する男性ホルモンを抑制。進行がんには単独で用い、局所進行がんには手術療法や放射線療法と併用することもあります。

精巣と副腎から分泌される男性ホルモンをブロック

ホルモン療法の特徴

前立腺がんは男性ホルモンと関係が深く、男性ホルモンがたくさんあるほど増殖する性質があります。そこで、男性ホルモンの分泌やその作用を抑えて、前立腺がんを小さくしていくのがホルモン療法です。がんを根治できるとは限りませんが、前立腺がんの進行は遅いので、とくに高齢者にはきわめて有効な治療法といえるでしょう。
男性ホルモンは主に精巣(せいそう)から分泌されていますが、一部は副腎(ふくじん)からも分泌されます。そこで、精巣からの男性ホルモンをブロックする薬と、副腎からの男性ホルモンをブロックする薬があります。両者を併用して治療するのが一般的です。

ホルモン薬が男性ホルモンを抑えるしくみ

●精巣からの男性ホルモンをブロックするLH-RHアゴニスト

精巣からの男性ホルモンをブロックする方法として今いちばん多く使われているのは、LH-RHアゴニスト(酢酸ゴセレリン/商品名ゾラデックス、酢酸リュープロレリン/商品名リュープリン)と呼ばれる注射剤です。LH-RHとは性腺刺激ホルモン放出ホルモンのことです。

精巣から分泌される男性ホルモンのテストステロンは、脳内にある下垂体から分泌されるLH(性腺刺激ホルモン)によって分泌をコントロールされています。さらに、LHは、脳内の視床下部から分泌されるLH-RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)によって分泌をコントロールされています。LH-RH→LH→テストステロンという順番で分泌されていくわけです。この流れのいちばん上流であるLH-RHが働かないようにしてしまおう、というのがLH-RHアゴニストという注射剤です。
アゴニストとは作用薬で、LH-RHアゴニストは、LH-RHと似た構造の偽物で、下垂体にあるLHの受け皿である受容体と結びつきます。LH-RHの偽物を送り込んで、本物のLH-RHを働けないようにしてしまうのが、この注射剤です。LH-RHアゴニストは、下腹部に打つ皮下注射です。月に1回注射を打つタイプと、3カ月に1回注射を打つタイプがあります。

●副腎からの男性ホルモンをブロックする抗アンドロゲン薬

日本人はホルモン療法の効果が高い

副腎から分泌される男性ホルモンをブロックするには、抗アンドロゲン薬を使います。アンドロゲンは男性ホルモンの総称です。
 抗アンドロゲン薬は飲み薬で、副腎から分泌された男性ホルモンが、前立腺の内部でがん細胞に対して働くのを防ぐ作用をもっています。
抗アンドロゲン薬にはステロイド系のもの(酢酸クロルマジノン/商品名プロスタール)と、非ステロイド系のもの(ビカルタミド/商品名カソデックス、フルタミド/商品名オダインなど)があります。
ステロイド系のものは、副腎から分泌された男性ホルモンの働きを抑える作用のほかに、下垂体からのLHの分泌を妨げ、テストステロンの分泌を抑える効果があります。一方、非ステロイド系のものは、副腎から分泌された男性ホルモンのがん細胞への働きを防ぐ作用だけをもっています。抗アンドロゲン薬の副作用には、ステロイド系では、性機能障害(勃起(ぼっき)障害=ED)と女性化乳房(乳房が女性のようにふくらむ)があり、非ステロイド系では肝機能障害と女性化乳房があります。
非ステロイド系のものは、男性ホルモンの分泌自体を抑制することはないので、性機能障害はおこりにくいと考えられています。このため、性機能を重視する場合は、非ステロイド系の抗アンドロゲン薬を単独で用いることもあります。

::以上前立腺がんの一般的治療薬には緑内障や、、

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