緑内障

[No.1161] 睡眠行動と睡眠パターンと緑内障のリスクとの関連

清澤のコメント:健康的な睡眠パターンを持つ個人と比較して、いびきと日中の眠気または不眠症と短い或いは長い睡眠時間を示す人は高い緑内障リスクを示しましたた。しかし夜更かしの睡眠パターンはそうではありませんでした。:という事です。結論は納得しやすいものです。大きなデータを処理して論文化するというありがちな論文作成手法です。イギリスの社会データを中国人が解析しているなんてずるいというイギリスの研究者が出てきそうではあります。
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睡眠行動と睡眠パターンと緑内障のリスクとの関連:英国バイオバンクの前向きコホート研究

概要

目的: 緑内障における眼圧の役割を考えると、患者の睡眠パターンが緑内障の発症と進行に寄与する可能性があります。睡眠行動と緑内障との関連を理解するための研究を行いました。

設計: 私たちの研究は前向きコホート研究でした。

設定: これは、英国のバイオバンクにおける前向きコホート研究でした。5 つの睡眠行動に関する自己報告データは、ベースラインでアンケートを使用して収集されました。睡眠行動のクラスター分析に基づいて、4 つの睡眠パターンを特定しました

参加者: 英国のバイオバンクでは、2006 年から 2010 年の間に 409,053 人の参加者が募集され、緑内障の診断のために追跡されました。緑内障は、英国のバイオバンクの入院患者の病院データに基づいて、緑内障と診断された入院として特定されました。英国バイオバンクから撤退した人、募集前に緑内障と診断された人、緑内障の手術やレーザー治療を自己申告した人、睡眠行動に関する情報がなかった人は除外されました。

一次および二次結果の測定: Cox 比例ハザード モデルを使用して 95% 信頼区間 (CI) でハザード比 (HR) を推定し、さまざまな睡眠行動と特定された睡眠パターンとの関連性を推定し、緑内障のリスクを調整し、複数の交絡因子。

結果: 健康的な睡眠パターンを持つ個人と比較して、いびきと日中の眠気 (HR 1.11、95% CI 1.03 ~ 1.19) または不眠症と短い或いは長い睡眠時間を示す人は高い緑内障リスクを示しました (HR 1.13、 95% CI 1.06 から 1.20)。しかし遅いクロノタイプ(夜更かし)の睡眠パターンはそうではありませんでした (HR 0.98、95% CI 0.93 から 1.03)。

結論: いびき、日中の眠気、不眠症、および短期/長期の持続時間は、個別または共同で、すべて緑内障のリスクと関連していました。これらの調査結果は、緑内障のリスクが高い個人に対する睡眠介入の必要性と、緑内障予防のための慢性的な睡眠障害を持つ個人の潜在的な眼科的スクリーニングの必要性を強調しています.

キーワード: 疫学; 緑内障; 睡眠薬。

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「不眠・寝過ぎ・いびき」は、緑内障のリスクを高める?-約41万人を11年追跡

2022年11月14日 PM04:00

睡眠の時間や質が緑内障リスクを左右する可能性

睡眠時間が短過ぎたり長過ぎることや、睡眠中にいびきをかくといった症状から把握される睡眠の質の低下が、緑内障のリスクを高める可能性を示すデータが報告された。四川大学西中国病院(中国)のHuan Song氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ Open」に11月1日掲載された。


画像提供HealthDay

緑内障は視神経が障害される病気で、治療が不十分だと視野の異常が進んでしまい失明に至る。失明の主要原因であり、日本ではその原因の第1位を占めている。また2040年までに世界中で1億1200万人が、緑内障によって視覚に何らかの影響を受けるとの予測もある。

緑内障の進行は眼圧(眼球内の圧力)が高いほど速い。その眼圧を左右する因子の一つとして、睡眠が挙げられる。睡眠中は眼圧が高くなることや、睡眠時間の長短が眼圧と関係していることなどが既に報告されている。そこでSong氏らは、睡眠時間や睡眠の質が緑内障リスクと関連がある可能性を想定し、英国の大規模ヘルスケア情報データベース「UKバイオバンク」のデータを用いて検討を行った。

2006~2010年にUKバイオバンクに登録された人の中から、緑内障患者やデータ欠落者を除外した40万9,053人(平均年齢57.0±8.09歳、女性55.05%)を10.7±1.63年追跡したところ、8,690人が新たに緑内障と診断された。緑内障を発症した群はそうでない群より高齢で(62.2対56.9歳)、男性(47.4対44.9%)、喫煙歴のある人(48.6対45.3%)が多く、また高血圧(12.9対7.6%)や糖尿病(4.4対2.0%)の患者が多かった。

緑内障リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、飲酒・喫煙・運動習慣、人種/民族、教育歴、高血圧、糖尿病、タウンゼント剥奪指数)で調整後、以下のように、睡眠時間、および睡眠の質の低下を表すさまざまな症状が、緑内障発症と有意に関連していることが明らかになった。

まず睡眠時間については、7~9時間の人に比べてそれより短い人や長い人は8%リスクが高く〔ハザード比(HR)1.08(95%信頼区間1.03~1.13)〕、不眠症の症状がある人は12%ハイリスクだった〔HR1.12(同1.07~1.17)〕。また、いびきをかく人〔HR1.04(同1.00~1.09)〕や、日中に眠気を感じることの多い人〔めったにない人に比べて時々ある人はHR1.06(同1.01~1.11)、頻繁にある人はHR1.20(1.07~1.34)〕もリスクが高かった。なお、クロノタイプ(朝型か夜型か)は有意な関連がなかった。

睡眠習慣が緑内障リスクに影響を及ぼす可能性を示したこの研究結果について、Song氏らは、「横になっているときは眼圧が高くなりやすい。また、不眠症の場合は睡眠に関連しているホルモンの乱れも眼圧に影響を及ぼし得る」と、メカニズムの考察を加えている。さらに、不眠症に伴うことの多い抑うつや不安も、コルチゾール(ストレスホルモン)産生の調節不全を介して眼圧を上昇させる可能性があるという。加えて、睡眠時無呼吸症候群による睡眠中の低酸素状態が視神経にダメージを与えるという経路も想定されるとしている。

ただし、本研究は観察研究であるため因果関係の証明にはならない。とは言え、緑内障リスクの高い人にとって、適切な睡眠の時間や質の確保が大切であることが示唆された。Song氏らは、「睡眠関連の行動は修正可能であるため、緑内障のリスクのある人に対する睡眠習慣への介入が、発症抑制につながる可能性がある。また、睡眠習慣に問題がある人に対しては、眼科的スクリーニングを行うといった対策が必要かもしれない」と述べている。(HealthDay News 2022年11月2日)

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