緑内障の進行と生活の質について
緑内障は、目の奥にある視神経が傷つくことで視野(見える範囲)が徐々に狭くなっていく病気です。初期の段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときにはかなり進行していることもあります。そのため、定期的な検査と早期発見がとても大切です。今回は中澤徹先生のパンフレットも参考にして緑内障の進行と生活の質について記載してみました。
緑内障の進行の速さや、患者さんの生活の質(QOL: Quality of Life)にどのような影響を与えるかについて、特に注意すべきポイントを分かりやすく説明します。
1. 視野欠損の進行が速い緑内障の特徴
緑内障の中には、視野の悪化が早く進むタイプがあります。以下のような特徴がある場合、進行のスピードが速く、注意が必要です。
① 眼圧が高い(高眼圧)
眼圧(目の中の圧力)が高いと視神経にかかる負担が大きくなり、神経が傷つきやすくなります。一般的に眼圧が高いほど緑内障の進行が速くなりやすいですが、眼圧が正常範囲でも緑内障が進行する「正常眼圧緑内障」もあるため、眼圧の管理だけでなく視野検査や眼底検査も重要です。
② 視神経の近くに出血がある(視神経乳頭近傍出血)
眼底検査で視神経の近くに出血が見られる場合、視神経がダメージを受けやすく、進行が早いことが知られています。このような出血は、一時的に消えることもありますが、出血があった人はそうでない人に比べて緑内障が進行しやすい傾向があります。
③ 落屑症候群(らくせつしょうこうぐん)がある
落屑症候群は、目の中に微細なタンパク質のような物質(落屑物質)がたまり、それが原因で眼圧が上がることがある病気です。緑内障を引き起こしやすく、また進行も速いとされています。特に高齢者に多く見られます。
④ 睡眠時無呼吸症候群がある
睡眠中に何度も呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」は、全身の酸素供給が低下するため、視神経への血流が不足し、緑内障の進行を早める可能性があります。睡眠時のいびきや日中の眠気が気になる方は、検査を受けることをおすすめします。
2. 生活の質が低下しやすい緑内障の特徴
緑内障が進行すると、視野が徐々に狭くなりますが、特に中心部分の視野が悪くなると、日常生活に大きな影響を与えます。
① 中心視野に障害がある
緑内障の視野欠損は通常、視野の周辺から徐々に進行します。しかし、一部の患者さんでは視野の中心部分に早く影響が出ることがあります。中心視野が障害されると、以下のような日常生活の困難が生じます。
- 文字が読みづらくなる(新聞や本の読書、スマートフォンの画面を見るのが大変)
- 人の顔が識別しにくくなる(知人とすれ違っても気づきにくい)
- 運転が難しくなる(特に標識や信号が見えにくくなる)
- 段差や障害物につまずきやすい
中心視野の障害がある場合、生活の質が大きく低下しやすくなります。そのため、視野の変化を早期に発見し、進行を抑えることが重要です。
3. 進行を抑えるためにできること
緑内障の進行を抑えるためには、以下の点が大切です。
✅ 定期的な眼科検査を受ける
特に40歳を過ぎたら、年に1回の眼科検診を受けましょう。家族に緑内障の人がいる場合は、さらに注意が必要です。
✅ 眼圧を適切に管理する
眼圧を下げる点眼薬を指示通りに使用することが重要です。薬をさぼると、知らないうちに視野が悪化することがあります。
✅ 視野の変化に気をつける
片目ずつ目を隠して、視野の変化をセルフチェックする習慣をつけましょう。
✅ 生活習慣を見直す
睡眠不足やストレス、喫煙、運動不足は緑内障の悪化につながる可能性があります。規則正しい生活を心がけ、血流を良くするために軽い運動を取り入れましょう。
✅ 睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は治療を受ける
いびきがひどい方、日中に強い眠気を感じる方は、専門医に相談しましょう。
まとめ
緑内障の進行は個人差がありますが、視野の悪化が速いタイプや、生活の質を大きく低下させるタイプの緑内障があります。定期検診を受け、早期発見・早期治療を行うことで、進行を遅らせることができます。目の健康を守るために、ぜひ意識していきましょう。
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