緑内障

[No.584] 緑内障の構造-機能喪失の線形モデルのテスト:論文紹介

中野教授の教育ビデオでは「緑内障の構造-機能喪失の線形モデルのテストは、網膜神経線維および視野測定における変動性の原因を明らかにします」という論文が紹介されていました。元論文に戻ってみると、下の図がその論文に出ている図で、網膜神経線維層が相当に薄くならないと視野のdB値は下がってはこないことが示されています。またある程度薄くなると、視野係数MDがさらに悪化しても網膜はグリア組織などが残存しているだけなので、もうそれ以上は薄くはなりません。(以前この話は慶応の勉強会で聞いた気がします。)

A)SLMの予測曲線。(B ) RNFLの厚さの変動を考慮したHood and Kardon モデルの予測平均曲線と95%CI 。(C緑色の楕円:対照被験者におけるLMVの95%の信頼境界。黒い楕円:0〜-30 dBの範囲の感度の損失に対する95%の信頼境界。(D )緑の曲線で示されているように、このような多くの黒い楕円のエンベロープによって、LMVの95%の信頼境界が決まります。

◎緑内障学会から、開院限定ページの案内が送られてきており、ログインIDとパスワードで開けることを確かめることが要求されていました。この専門ページの中で、慈恵医大の中野教授が作られた緑内障学会の教育ビデオを視聴しました。どのビデオも、視聴回数は数回と少なくもったいない限りです。その中で

抄録を採録:
緑内障の構造-機能喪失の線形モデルのテストは、網膜神経線維および視野測定における変動性の原因を明らかにします
 著者所属
Investigative Ophthalmology&Visual Science 2009年9月、Vol.50、4254-4266。土井:https ://doi.org/10.1167/iovs.08-2697
概要

目的。緑内障患者からの網膜神経線維(RNFL)の厚さと視野喪失データは、構造と機能の個人差をよりよく理解するために、モデルのコンテキストで分析されました。

メソッド。光コヒーレンストモグラフィー(OCT)RNFLの厚さと標準的な自動視野検査(SAP)の視野損失は、緑内障の140人の患者と82人の正常な対照被験者の片方の眼の弧状領域で測定されました。個人内(測定)誤差の推定値は、34人の患者と22人の対照被験者で短期間に異なる日に行われた測定を繰り返すことによって得られました。構造関数データの一般的な特性を説明するために以前に示された線形モデルは、データの変動性を予測するために拡張されました。

結果。正常な対照被験者の場合、個人間の誤差(個人差)は、OCTおよびSAP測定値の合計分散のそれぞれ87%および71%を占めました。SAPの個人内エラーは増加し、その後SAP損失の増加に伴って減少しましたが、OCTエラーは一定のままでした。変動性のある線形モデル(LMV)は、データの変動性の多くを説明しました。ただし、患者のポイントの12.5%は95%の境界を超えていました。これらの点を調べると、データの全体的な変動に寄与する可能性のある要因が明らかになりました。これらの要因には、網膜上膜、浮腫、フィールドからディスクへのマッピングの個人差、血管の位置とそれらがRNFLアルゴリズムに含まれる程度が含まれます。

結論。モデルと個人内変動と個人間変動の分割は、構造対機能データのかなりの変動に寄与する要因を解明するのに役立ちました。

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このビデオのTake home messageは、以下の通りでした。

◎緑内障は機能と構造の整合性が確定診断に重要である。

◎前視野緑内障はOCTと宇雨情の視野検査で不一致が生じる

◎極早期の緑内障診断に10-2検査は有用である。

◎OCTでテンポラルラッフェサイン(耳側縫線徴候)があれば10-2を追加する

◎上方よりも下方の神経線維層が易障害性である

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