水平性半盲を伴う初期視神経炎における磁気共鳴画像病変領域と視野欠損の構造機能相関
Structure-function relationship between magnetic resonance imaging lesion areas and visual field defects in initial optic neuritis with altitudinal hemianopsia
清澤のコメント:越智らによる上記論文が報告されました。自動翻訳では「高度半盲を伴う初期視神経炎における磁気共鳴画像病変領域と視野欠損の構造機能相関」でしたが、altitudionalは水平性半盲と訳す方が妥切と思われます。水平性半盲は多くの場合に虚血性視神経炎を疑わせる視野欠損なのですが、そのほかの視神経症においても現れることがあるという視点で、この視野を対象に取り上げたものと思われます。この研究で集められた症例数では非動脈炎性虚血性視神経症と視神経炎の比率はほぼ1:1のようです。興味深い点としては、視神経における上下の信号強度の差が、非炎症性虚血性視神経症では検出されなかったそうです。
DOI: 10.1007/s10384-023-01008-4
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要約
目的:視神経炎(ON)と水平性半盲(altitudional hemianopsia AH)の初期症例における磁気共鳴画像法(MRI)コントラスト増強(CE)領域と視野欠損(VFD)非対称性の空間的関連を、非動脈炎性前部虚血性視神経障害(NAION)とAHを用いて検討すること。
研究デザイン: 多施設横断研究
メソッド: 本研究は、眼窩造影脂肪抑制MRIを受けた19人のON(視神経症)患者と20人のNAION(非動脈炎性虚血性視神経症)患者で構成されていました。信号強度比(SIR)は、視神経の最大CE (コントラスト感度)を大脳白質の平均CEで、眼球直後から視交叉まで3mm間隔で割り当てた11断面て算出した。NAION群の対応するセクションでSIRの平均プラス2標準偏差を超えるSIRを有するON患者の切片は異常とみなされた。最大SIRセクションとVFD(視野欠損)対応部におけるCE(コントラスト強度)の上から下への非対称性の間の相関が決定されました。
結果:ON(視神経炎)群の最大SIR(信号強度比)はNAION(非虚血性視神経症)群よりも有意に高かった(1.77 ± 0.88 vs 1.25 ± 0.32; P < .01)。 19例中7例に異常に高いCE(信号強度)を持つ切片が眼窩頂点を超えて後方に広がっていた。CE(信号強度)とVFD(視野欠損)の非対称性の間に有意な空間的対応が観察されたがこれ(rs = 563.015; P = 0.048)はON群にはあったが、NAION群には無かった。 (rs = − 0. 048; P = .850)。
結論:ON(視神経炎)のAH(水平半盲)患者は脳内視神経でもCEを示すことが多く、中程度の構造機能対応を維持している。
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