読売新聞連載記事「まぶしさと付き合う」⑥/6
[非眼球性(羞明)]支援拡充を
◇Q&A
国際医療福祉大 視機能療法学科教授 原 直人さん
まぶしさと、そのために不自由する人への支援について国際医療福祉大教授の原直人さんに聞いた。
――なぜまぶしさを感じるのか。
「眼球に入ってきた光の刺激が強い場合、脳が不安や不快感を覚えます。そこで起こる防御反応がまぶしさです。片頭痛や眼痛、目を閉じるという症状も含め、医療の言葉では『 羞明 』と呼びます」
「暗がりから明るい所に出た時や、強い日差しを浴びた時に、まぶしいのは自然なことです。ただ、普通なら問題がない環境でも、まぶしい人は、病気が背景にあるかもしれません」
――どんな病気か。
「代表的な病気は白内障や網膜色素変性症、ドライアイです。これらは眼球に何らかの異常があります。眼球には異常が見つからない『非眼球性』もあります。自らの意思と関係なくまぶたが動く 眼瞼 けいれんや、視界に砂嵐のような粒子が見えるビジュアルスノー症候群、睡眠薬の服用が招く例などで、原因不明とされ、医療機関を転々とする患者は珍しくありません」
ーーー公開記事の続き部分の要点ーーー
ー診断がむつかしいのか。「眼科の検査で異常がない患者の診療を専門とする眼科医師は少ない。片頭痛や眼痛、めまいや耳鳴りなど羞明にみられる症状を伴う患者も多く、的確な診断には、眼科と脳神経内科、精神科など診療科同士の連携も必要になります。」
対処法は「なるべく光を避けて過ごす。遮光眼鏡が有用。一番症状が和らぐものを選んで。」「片頭痛がある場合は、ブルーライトが引き金になりやすい。LED 照明やタブレットなどの画面を暗くしよう。」
課題は;非眼球性羞明は視力視野に異常がないので、視覚障碍者として認定されず、遮光眼鏡、白杖、拡大読書器などの公的サービスが受けられない。患者団体や眼科医らは「眼球使用困難症」呼び支援充実を訴えている。」
国の取り組み:「専門家による研究事業で診断基準や病態の解明を目指している。一人で悩まず、うまく付き合う方法を医療者と一緒に探してください。」
(この連作記事の担当新聞記者は東礼奈さんです)
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